2017年1月5日木曜日

私の還暦過去帳(588)


2017年の年が明けて、時代の波が動くのを実感致します。

過去の昔には戻れない、この世の定めと感じるこの頃ですが、
去年も多くの方々が御世の国に旅立たれて、お知らせの一報
を受け取って知るという事も多く、周りに知人や同期も少なくな
り、これも時世の流れと感じます。

今ではインターネットの世の中で、瞬時で世界を掛け巡る事も
可能ですし、深夜にふと寝る前の時間になり、思う事があって
Googleアースに接続して、衛星写真を見ながら、過去の50年
も昔の南米の真夏で40度近い、南回帰線から100kmも内側
に入った昔の古巣の農場を思い出して、ベルメッホ河の畔の
流れを伝って衛星地図の画像を眺めていると、荒れ果てた農場
らしき影が見えて来て、一瞬、『キユーン!』と胸が締め付けら
れる郷愁の思いが込み上げて来て、何かタイムマシーンに自分
が乗って戻って行ったかと錯覚する幻想の様な感じさえ持ちま
す。
全てが現代科学の力を感じますが、52年前に日本からの手紙
が、40日も掛けて遥々と太平洋を越えて、配達され私書箱に入
っていた事と、今ではE-Mailが、瞬時の速さで受け取れる事
を思うと、何という世の中になったかと感じています。
それも写真の画像も、音楽も、小説さえPDFに変化させて送ら
れて来る事を考えると、何と便利な世の中になったかと感謝の
心さえ湧いてきます。
私がアメリカに来て知り合った方の家族は、亡くなられたご主人
の家族と両親の1885年代の書類やコピーの書類を見せて貰っ
たことがあります。ドイツからとイタリアからの書類がありました。
その方は子供もいなくて、家は従妹に譲るので、自分の84歳の
年齢を考えて全てを破棄、寄付して、ガレージ内と物置にあった
全ての古い工具類や家具なども処分しているのを見ました。

ガラーンとした、かたずけが終わったガレージと物置を見て、そ
の方は人間はある時期に来れば決断して、思い切りも必要だと
話していました。
庭の片隅にパーキングしていた亡くなったご主人の車も、寄付
されて無くなっていました。
私にはその方の姉が所持していた、古い真空管のラジオを骨董
品だけど貰ってくれるかと聞いて来たので、喜んで頂きました。
スイッチを入れると澄んだ音で音楽が流れて来て、昔その方の
姉がいつも聞いていたラジオ局だと感じました。
そのラジオも丁重に梱包して私の物置の棚にあります。
先日誰もいない庭先でラジオのスイッチを入れると、雑音も無く
同じラジオ局の音楽が流れて来ました。しばらく音楽を聞きながら
飲みかけのコーヒーを楽しんでいましたが、昔聞いた事のある曲
が流れ、郷愁の心をかき立て、初冬の弱い光に輝く空に、ミユージ
ユックの旋律が羽ばたく様に飛んでいると感じていました。
全てが郷愁の彼方に消えていく心がして、切ない気持ちを堪え切
れない様でした。