2013年8月3日土曜日

私の還暦過去帳(402)


 去り行く人々・・、

先日、県人会に出席いたしましたが、今年も何人かの人達が出席出来ま
せんでした。
昔は沢山の方々が出席され、大きなレストランを借り切って、開催されて
いました。

今では数えるぐらいの人で、仏教会の日曜学校を開く集会所で開かれて
います。 時代の流れには逆らえません、人は生まれて生を受けたら、い
つの日かあの世に旅立つ事になります。

時は流れ、次代は変り、世の中も変化して昔の面影も消えてしまう、激し
い時代の変遷を止める手段は、もうすでにこの世では無理な事です。

一世と呼ばれる日本人も90歳過ぎた年齢か、もはやこの世には生きて
はいません。 第二次大戦後日本に進駐して来たアメリカ兵と結婚して渡
米して来た人達も、すでに多くの人々が亡くなっていますし、中にはご主
人を亡くして日本に帰国した方も居ます。
それぞれ、人生の最終に足を踏み出して歩き始めているのです。

そう言う私も近頃は要らない不用品をかたずけて、程度の良い物はドネ
ーションをし有効に活用しています。ついこの間亡くなられた人が、すで
に4年目となり、その方の記憶も薄れてきています。

『忘却とは忘れ去る事なり、』とか言いますが、また『忘れずして忘却を
語ること無かれ』とも言っています。

これまで人生の旅人と多くすれ違って来ましたが、人生街道の道すがら、
昔の様子を聞き、また話してくれた人々を、つい最近の様に思い出します。

移民船で50年前に南米に移住した時、乗船した船に乗り合わせた祖国
訪問のブラジル最初の移民船、笠戸丸で移民した人達にも会う事が出来
まして、人生旅路の様子を聞く事が出来ました。

その人達が話してくれたサントス港上陸は、暑いので扇子で風を取り、着
物のすそをからげて歩き、味噌、醤油の樽も持参していたと話していました。

同じくパラグワイの第1回、ラ・コルメナ移住地に 移住し当時、アルゼンチ
ンのブエノス在住の隈部氏ご夫妻とも親しく話を聞く事が出来ましたが、
パラグワイ移住する前は、ペルーに移住して住んで居たと言う事で、戦前、
昔のペルーの様子も詳しく聞く事が出来、また同じく、コルメナ移住地に移
住して、現在も最初からその同じ土地にお住まいの、三井氏ご夫妻にもお
話を伺う事が出来ました。

アルゼンチンのサルタ州では、ハワイからペルーに転住して来て、アマゾン
のゴム景気に誘われて、アンデスの山を徒歩で歩いて越えて来た方にも
お会いして話を聞く事が出来ました。

多くの今は亡き方々や、歴史を背負って生き残られている方々にも話を伺
う事が出来ました。
有名な探険家、冒険家として世界五大陸最高峰を制覇された植村直己氏
ともブエノスでほんの僅かな時間言葉を交わす事が出来ましたが、アコン
カグワ登頂を済ませて、アマゾン河のイカダ下りを準備していた頃と思い
ます。
私の人生街道の道すがらに出会い、またすれ違って来た人々を思えば、
それぞれに大きな人生の物語を背負っていたと思います。

今でも戦争最中の出来事を語ってくれた人を思い出すのは、アメリカの第
2次大戦末期に硫黄島攻略、最初の海兵隊上陸部隊の先発隊の一陣に
参加して、すり鉢山の麓に強行上陸して、上陸艇から降りて直ぐに鉄兜を
撃たれ、その後に腹部を撃たれて瀕死の重傷で助かった海兵隊員の話し
や、満州に雪崩を打って侵入したロシア軍に万歳突撃をして生き残った人
の話しなど、聞く者を驚かせるのには十分な話でした。

アメリカで知り合ったアフガニスタンからの難民で、アフガン紛争時代、ソ
連軍に夜間奇襲攻撃をした人の話も悲惨な話でした。

それぞれに人は、一つの物語を背負うということですが、知られる事なく
ひっそりとあの世に持って行かれた方々の多き事も想像いたします。

パラグワイの日本人移住地近くの墓地で、ひっそりと草葉の陰で眠る人
達の墓標の列にも心が、キューンと絞め付けられる感じでした。

ハワイに旅した時に、道端の側に並ぶ粗末な墓標に、1887年と刻んで
ある墓標を見た時に百年以上も前からこの道端の側で眠っていた日本人
が居たことを知り、歴史を感じましたが、サンフランシスコ近くの、明治天
皇からの御賜金で建設された、百年前に開かれた、全米唯一 のコルマ
日本人墓地には、数多くの無縁仏が祭られ、アメ行きさんと言われた若き
日本人娼婦の3名の墓もあります。

それぞれに時代に消えて、過去の忘却の彼方に過ぎ去って行った人々と、
また私は多くの方々と会って、見て、共に語り、見送って行ったと今では
時々感じ、それだけ歳を取り、老いていったと心に感じています。

誰かに『もう歴史の証人ですね・・』と言われて、何か自分の歳を再認識
させられた感じです。

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