2013年2月17日日曜日

私の還暦過去帳(348)


   訪日雑感(5)

バスの中から見上げるビルの威容はいつもサンフランシスコの下町で高層
ビルの下を車で走る私にとっては、日本もやるなー!と言う実感が有りまし
た。バスは平日は渋谷からの通勤バスのようでした。

玄関口の車寄せまで入り、停止いたしましたが、そこが終点で、また渋谷に
折り返す様でしたが、すでに長い乗客の列が出来ていました。

私はまだ待ち合わせの時間が有りましたので、早速に野次馬根性丸出し
で、風体は田舎からの、おのぼりさんの格好で歩いていました。
映画祭のイベントが行われ、沢山の観客が来ていました。
直ぐ横では何か別のイベントが開催され、テーブルにはお客が来ていました。

賑やかです・・、ハロウイーン仮装の子供達がゾロゾロ歩いています。
昔は日本では見たこともない行事ですが、アメリカからの風俗輸入で商魂逞
しい人間のビジネスと思いました。

誰かが話していたが、見栄、虚勢、猿真似、アメリカかぶれ?の若者達が
国電の山手線の中で、仮装姿で外人と混じって大騒ぎをしていたと皮肉っ
ていました。

私の家の周りに来る仮装の子供達は、可愛くて愛らしい白雪姫服装や、ま
た時にはスーパーマンの姿で驚かしてくれますが、日本で見ると少し違和感
がありました。
まさに時代が変化して時が過ぎ去った事が肌で思い知らされました。

その様な子供達をベンチで座って見ていたら、隣りに英語を話す子供達が
座りました。聞くと英国から修学旅行で日本観光に私立学校から皆で来たと
話してくれました。
英国も修学旅行があるのです、高校生と話していましたが、ジーンズのズボ
ンや短パンの格好で元気で騒いでいました。

早速、英語を話す私を捉まえて質問攻めでした。
私も彼等に質問を返していましたが、彼等が感じる同じ世代の日本人を見
た感想は私が感じる事と同じものを持っている思考がありました。

違和感と言うより、なぜと言う文化の違いです、彼等が最初に見たのは京都
と奈良の昔の日本の文化と、その遺産的に裏打ちされた日本人と言うもの
を見た印象でした。

私と年齢的には3倍の差が有りますが、思考的にはゼロと言う時間的な差
です。彼等が『なぜー!』と言う疑問が、私と共通した背景には時代と言う
より日本人がなぜもこうも変化したかと言う事でした。

英国人の保守的な裕福層のプライベート学校の生徒達です。
彼等の考えと思考が、もっと日本の同じ若者達の姿を鋭く批判して見てい
ます。時代とか、民族とか、年齢とか、言語的、思考的な異差です。

側のベンチで若い日本人の女性がメイド喫茶風俗の格好で2人居ましたが、
英国の学生達の見る目はまったく理解が出来ない目で見ていました。

私は英国から来た修学旅行生達に学ばせられました。
それは彼等が受けた国家感のある、教育思考から来る価値観と思いました。

しばらく愕然として彼等の話を聞いていました。

日本の教育観念をもう一度見詰めなおす事にも成る様な差です、教育は国
家の土台と言う事を認識させられた一瞬でした。

その時に私の心に横切ったものは、これからの日本を背負う若者達の教育
概念の事でした。果たして日本はこれからどうなるか?

一人の英国人学生が話した言葉が私の心をグサリと刺しました。

彼は『この様な素晴らしいカメラを製造するが、資源も無く、農業自給もなく
した国家が人的資源の枯渇と教育理念の破壊を放置して、日本はこれから
どうするのだろう?』と言う言葉でした。

この六本木ヒルズの森ビルの入り口に立ち、見上げたビルの建物が何か
むなしい象徴の様に感じて、この中には日本の要を握る人間達が居ると言
うのに、私の目には空ろに写った感じでした。

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