2013年2月10日日曜日

第3話、伝説の黄金物語、(52)


ブラジル資源の争奪戦、

過去のブラジルの豊かな地下資源、農業資源は他国から見たら大きな魅
力でした。

1976年当時、サンパウロからミナスジェライス州まで車で長距離ドライ
ブをして廻った事が有りました。
多くのヨーロッパの企業、投資家、個人の農家などが農地や土地に投資し
ているのを見た事が有ります。広大な地域でしたが、多くの北欧系企業な
どが土地に投資して多くの農場を経営していたのを見た事があります。

すでに1935年代の第二次大戦勃発前には、それを見越して多くの当事
国が国を背景に、投資や、関連企業に融資して、その貴重な資源を抑える
か、支配力を強めていました。
植民地支配も含めて、アフリカ、南米、アジア大陸、南太平洋 地域などで
はそれが顕著でした。
1933年にはドイツではヒットラー政権が誕生して、欧州に大きな勢力と
影響を与えて居ましたが、その当時からロシアやフランス、英国などと、ブ
ラジルに裏表に影響力を広げていたのでした。

スミス商会も勢力的にはアメリカが当時政治的な中立を維持して居たので、
二ユーヨークとロンドンを中心に政治的な関係など目立たないようにビジネス
を展開していたが、しかし、ブラジルの貴金属を取り扱う事業や、希少価値
の資源など、多くの国から目を付けられていた。

その当時、リカは富蔵の達の会社の看板として、その美貌と才覚が花開き、
重要な交渉やビジネス上の手配までこなしていた。誰もリカ以上の仕事は無
理と感じていた。

リオ・ベールデの事務所で働いていた、もと靴磨きのペドロが暇さえあれば
モレーノに付いてあらゆる知識と生きるという知恵を学び、富蔵も柔道や空
手などの手ほどきをして教えていた。抜群の運動神経と感のよさは、若いな
がら使える男になっていた。

モレーノに習っていた射撃の腕は、モレーノが舌を巻くほど上達していた。
ペドロの真面目な向学心とハングリー精神が、大きく作用をしていると富蔵は
感じていた。
事務所で習ったタイプも皆が驚く早さで叩く事が出来て、モレーノに習った、
無線送信の技術や修理のテクニックも夜学に通い、基礎を習って一人前にな
っていた。

飛行機の操縦もモレーノに初歩の教授を受けて、自分で単独飛行が出来る
程になっていた。ペドロも富蔵に拾われて、可愛がられ、勉強の機会を与え
られ、成長して富蔵がリオ・ベールデに来た当時に、宿舎として購入していた
事務所近くの家に住まい、事務所の何でも屋として今では運転手から、リカ
のカバン持ちとして、護衛として付いて歩き、忠実で有能な使用人と育って
いた。

リカがサンパウロやリオなどに会社の仕事で出かける時は、秘書の女性と、
護衛兼運転手、カバン持ちとして3人で歩いていた。

リカがリオデ・ジャネイロのスミス商会の事務所でダイアモンドの商談を話して
いた時に、気になる事があったと、サンパウロに立ち寄った時に富蔵に話して
いた。
ある見かけないベルギー人が、スミス商会の商談にかこ付けて、内々に取り
入って来たと話していた。
リカは前からスミス商会の幹部から忠告を受けていたので、用心して多くの事
は話さず、簡単な挨拶程度を交わしていたと富蔵に話していた。

これが後で、国をバックに巨大な資源獲得の尖兵として派遣されて来ていた
ドイツ人だと判明するまで時間は余りかからなかった。
彼等の狙いは工業用ダイアモンドだった。
これがなければ工作機械や精密機械の重要な部品として不可欠だったから
だ・・、
それはリオ・ベールデ運輸倉庫会社がブラジル奥地に持っている貴金属、宝
石などの原石買い付け、集荷のルートを狙って交渉して来たと感じられた。
地道に、堅実に育てて来た会社の力を彼等がこれからブラジルで有効に使え
ると判断して、取り入って来たと思った。

すでにスミス商会、ダイアモンド商会などとの取引を中心として、そこの運送
の仕事も貰っているので、とても彼らと交渉の条件となる物もなかったので、
遠まわしに断っていた。
それが彼等の感に触ったのか、食手を伸ばして来た手を、彼等がそう簡単に
諦める事はなかった。
リカと秘書がサンパウロでの仕事でペドロと3名で滞在していた時であった。

秘書は先にオフイスに行く為にペドロが運転する車でレストランを出て、ビル
のスミス商会の一角を借りていたオフイスに入るのをペドロが見届けて、レス
トランでビジネスの商談をしていたリカを迎えに戻り、それが終りオフイスに戻
ると、事務所の中は誰も居なくて、タイプ用紙が散らばり、秘書のハンドバッ
クが机の脇に転がっていた。
ペドロから血相変えてた電話が富蔵に掛かって来た。その後にリカが冷静な
判断でその説明をして来た。

『秘書は私と間違われて誘拐されたと思います、私が着ていた服を、お下
がりであげたので、それを今日から着ていたこと、髪型を秘書が私に真似て
同じ様にしていたこと、私が座るデスクでタイプを打っていた事などから、周
りの状況と私の人相を知らない人物が襲ったと思います。』と話してきた。

市中の事務所を引き払い、サムの飛行場にあるオフイスにペドロがリカを乗
せて車を飛ばして戻って来た。富蔵も事務所に居たので直ぐに直接詳しく話
を聞く事が出来た。

夕方にはリオ・ベールデから、モレーノの操縦する飛行機にアマンダの兄弟
二人も同乗していた。
早速、テーブルを囲んで皆で事態を協議していたが、秘書のアミーはブラジ
ル奥地からの集荷の形態は知らず、またお得意などの詳しい情報も何も知
らないので、今頃はそれが知れてどうなっているか心配事であった。

話し合っていた時に、連絡していたスミス商会の重役が飛んで来た。
彼はスミス商会の中でも、対外的な交渉と会社の保安を担当していたプロで
あった。
彼はベルギー人のビジネスマンに成りすました男の正体を粗筋で教えてくれた。
ナチス・ドイツの情報機関に属する男で、ブラジルの貴重な資源や貴金属な
どの入手と集荷を画策して実行していた。
また隣国のパラグワイやウルグワイ、アルゼンチンにも活動を広げて触手を
拡大していると話してくれた。

手段選ばぬ活動は強引な勢力拡大と共に、陰で邪魔者は殺し、抹殺、暗
殺などは彼等が得意とするところであった。それだけブラジルはまだ法律的な
力が弱かった所があった。

話を進めて、対策を練っていた時にオフイスの電話が鳴った。
しばらく鳴りっぱなしてしていた。しかし、一度電話が切れてまた掛かって来た。

誘拐された秘書を助ける事に皆の全員意見が一致した。

しつこく電話は鳴り響き、誰れもが犯人達からの電話と思った。
モレーノが立ち上がると受話器を取り上げた。

いよいよ生き残りを賭けた戦いの火蓋が切られた。

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