2013年1月22日火曜日

私の還暦過去帳(339)


今日私がお勧めいたします映画は・・・、

Miracle at St. Anna  (ミラクル・アット・セント.アンナ)と言う題名です。
日本名直訳:『聖アンナの奇跡』

戦争の悲劇をそれぞれの兵士の個人的な話へと、関連した物語を書いた
ベストセラー「Miracle at St.Anna」の著者ジェイムズ・マクブライドは、彼
は白人の母を持つ混血のブラック・アメリカ人だった。

映画は、第二次世界大戦下に起きた実話を元にジェイムズ・マクブライドが
脚色を手掛け、本作品の制作にも参加して、実際の実話を取り入れた手
法は見る者の心を掴み、迫力ある作品に仕上げている。

監督: スパイク・リー
出演: デレク・ルーク、マイケル・イーリー、
    ラズ・アロンソ、
    オマー・ベンソン・ミラー、
    ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ

この映画の冒頭の画面は郵便局に切手を買いに来た男が窓口の、郵便局
員に拳銃でいきなり射殺される事から始まる。

スリーラー的な推理も回顧録的な手法で画面が展開するが、その連続する
画面に引きずられ、飲み込まれる感じがする。
画面の激しい戦闘場面もこの映画のテンポを殺す事無く、画面から叩きつ
ける様な迫力が出ている。
実際の画面を見てもらえば納得のストーリーと感じられると思います。

1983年12月19日、ヘクター・ネグロンが、ある男を殺したという出だしが、
ミステリー的な感じも致しますが、2時間40分の長編映画にしては替わり
の激しい画面で、テンポも同じく、息つく暇なく展開する画面に、その時間
的な長さは見終わって感じる事は無かった。

郵便局員の殺人犯行後、ニョーヨークの彼の家で見つかったイタリアの文
化的遺産と言う大理石の頭部、それを39年前に起きたミステリーの手掛かり
とする手法を使っている。

第二次世界大戦下、イタリアのトスカーナに派兵されたアメリカ陸軍の黒人
兵士達による第92師団歩兵連隊バッファロー・ソルジャー達の物語を絡めて
この物語の発端は1944年スタートする。

人種差別を絡ませて、対立する黒人兵士仲間とドイツ兵、イタリアのパル
チザンの戦闘と交差した黒人兵4名が、彼等の初めて遭遇する世界の、
イタリア、トスカーナ州のサンターナ・ディ・スタゼマ村にて巻き起こる激しい
戦闘と人種差別を絡ませて、ナチドイツの親衛隊がパルチザンの襲撃で、
村民のほぼ全員、560人を射殺虐殺する場面も登場する。

これは実話で、現実にトスカーナ州のサンターナ・ディ・スタゼマ村起きた事
件は、戦後の2005年にイタリアの法廷で61年前の村民虐殺で元ナチス
親衛隊10人に終身刑が言い渡された。

その虐殺現場から逃れた少年がアメリカ軍の人種差別主義者の指揮官に
より、見知らぬイタリアの村に孤立無援の状態で取り残され、黒人兵士4
名と現実と奇跡?と感じる挿話を挟んで展開する物語に、2時間40分と
言う長編ながら、ぐいぐいと引きずり込まれる感じが致します。

黒人兵が差別されるシーンも、今の世代と時代的な背景を考えると監督の
考えるストーリーが何処に有るのか、貴方の心に感じると思います。

今年のカンヌ映画祭でスパイク・リーとクリント・イーストウッドの舌戦がこの
映画の上映を前に戦わされた事は知られていますが、イーストウッドが監
督した映画「父親たちの星条旗」を見たブラック・アメリカ人による嘆き、
落胆、差別的な怒りがあった事を考えると、人種差別をテーマに入れた映
画の複雑さが、黒人映画監督の映画と見て分かると思います。

記憶を失った少年役には映画初出演のマッティオ・シャボーディが熱演して、
大人達の演技が顔負けする様な役割を演じている。

映画の台詞は英語は英語で、ドイツ語はドイツ語でイタリア語は地元イタリ
アのイタリア語という実際の場面と同じ言葉で話され、臨証感が画面から
感じられた。

私は上映が終わり、ラストシーンの最後に涙が出ていた。
そして、何か心深く感じるものがあった映画でした。


劇映画としては満足度;100%

上映時間:2時間40分

2008年製作:アメリカ公開2008年9月26日
日本公開未定

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム