2012年10月9日火曜日

第3話、伝説の黄金物語、(16)

  
埋められていた砂金、

アマンダが先頭で馬が3頭歩き出したら、木陰から犬が2匹飛び出して来た。
アマンダが紹介してくれたが、自分の家で飼っている5匹の犬達のその内の
2匹だと説明してくれた。
5匹も飼っている犬とは驚いたが、雑種だが利口そうな犬であった。

歩いて5分もしない内に河岸の草原に出たら、飛行機のエンジンの音が聞こ
えて来た。
単発の複葉機がスピードも落とさずに、低空で赤い吹流を付けた通信筒を
小屋の近くに投下して去っていった。

アマンダが馬を走らせて見に行ったが、直ぐに馬で戻って来た。
パイロットのサムからの通信であった。急な用事で予定を変更したので、迎
えは1日半ほど遅れると手短に書いてあった。

明後日の夕方4時と書いてあったので、富蔵は時間がゆっくりと取れたので
安心していた。埋められた砂金を探すのに時間が掛かっても、これで安心だ
と思った。
犬達が先を歩いて、その後ろを馬3頭が並んで歩き出した。

アマンダとパブロも機用に乗馬をこなして居たが、富蔵は慣れなくて鞍に掴
まっていたが、馬の方が利巧に、なれない人間を乗せているようであった。

途中休憩で下馬して水を飲み、木陰でしばらく腰を下ろしていた。
犬達も木陰で水を貰い、のんびりと寝そべっていたが、急に耳を立て鼻を
クンクンとして何か探していた。

直ぐにアマンダが気が付き、鞍の横に差してある散弾銃を取って木陰に隠れ
た。富蔵とパブロも隠れて、袋に入れて来た肩当の台尻を外したトンプソン・
マシンガンにドラムマガジンを装着していた。

台尻を外しているので銃身と機関部だけで、手頃な重さとサイズで袋に収ま
っていた。ドラムマガジンには装弾して2個を袋に入れて来ていた。
犬が藪の中に向けて走り出して、動きながら激しく吼えていた。

誰か隠れて居る様だと感じた。その時、パンー!と銃声がして1匹の犬の直
ぐ側で土が跳ねた。アマンダが罵声を上げて、散弾銃を2発連続して藪に撃
ち込んでいた。
富蔵も木陰から藪に向けてトンプソンを短く撃ち込んでいた。

犬が居なかったら待ち伏せを受けて今日の予定どころか、命にも関わる事
になっていたと感じた。富蔵のトンプソン・マシンガンの威力は凄く、45口径
の弾が藪の中の小枝を吹き飛ばしながら撃ち込まれた後は、シーンとして周
りが静まり返っていた。

利巧な犬達は身を隠して今度は藪の中から激しく吼えていたが、しばらくす
ると隠れている富蔵達の木陰に戻って来た。
アマンダが散弾銃を構えると、犬を連れて偵察に隠れるようにして見に行っ
た。しばらくして離れた藪から、犬とひよっこりとか顔を出した来た。

手まねきをするので、馬を連れて現場に行くと、藪の木陰に血溜まりがある
のを見せてくれた。
アマンダが、『襲った犯人は犬に知られて反撃され、負傷して逃げたようだ』
と話していたが、首をかしげて『この出血を見れば、逃げ切れるのは無理か
もしれない』と言っていた。点々と血痕が河の方角に続いていた。

富蔵は襲った犯人が強盗団の仲間と感じ、逃亡用の馬が欲しかったと感じた。
賞金稼ぎに追われて、必死に追い詰められている様子が分かった。
しばらく馬で歩いていると、どこか遠くで微かな銃声が2発した。
立ち止まって聞いたがその後は何事も無くジャングルは静まり返っていた。

富蔵は頭の中に叩き込んでいる地図と比較しながら、地形を見て、段々と現
場が近くなって来た事を感じた。日も高く登り暑い日差しがジャングルから差
し込んでいた。
富蔵が地図で覚えていた河岸の岩から、椰子の木の目標などが見えて来た。
確かあの椰子の木が3本ある下の岩から、真北に2m離れた場所に埋めら
れていると地図には書いてあった。

長年の執念が叶うと感じていたが、誰にも知られたくなかった。
富蔵はここでランチを食べて休憩したら、少し周りを見て採掘の条件に合う
土地か調べて見ることにしたと、連れに話した。
了承されて、木陰に馬を繋ぎランチの包みが開かれた。

ゆっくりと持って来たランチを食べて休憩していたが、アマンダが馬達にも水
を飲ませて青草を食べさせたいと言って、馬を連れて近くの河岸に銃を手に
出かけて行った。
富蔵はチャンスが来たと感じた。犬達もアマンダに付いて行った。

パブロに『用便を済ませてくる・・・』と言って、荷物と銃を持たせ見張りをさせ
て、富蔵は腰に拳銃と手に小型スコップを持って椰子の木の下まで歩いて行
った。

椰子の木が3本、下には一抱えもある岩が間違いなく地図に書いてあった
通りに並んでいた。
富蔵は一瞬間息が詰まる思いがした。
雨で土砂が流され、微かにビンの先が2本見えていたからだ、富蔵の手が
ブルブルと震えて、緊張で口がカラカラに渇いていた。

一本の小さなビンを地中から抜くと中を見た。
中身は間違いなく砂金であった。ずっしりと重い砂金を手に感じていた。

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