2012年9月28日金曜日

第3話、伝説の黄金物語、(11)


 パブロ・パウロの忠義

パブロの苗字はブラジル式ポルトガル語では、パ~ウロと少し延ばして発音す
るようだが、富蔵は日本式にパウロとと呼んでいた。

彼の手を手首から切り落とした男二人に復讐の一撃を与える事が出来た後
は、富蔵にますますの忠義を尽くしていた。早く言えば尽くしてくれた。

右手の手首から無い身障者が助けられえ、援助して貰い、職と食事の全てを
貰い、住居で夜露をしのぎ 、襲った相手から奪った金だけれど、彼が1ヵ年働
いても手にする事が出来ない金額の金を貰ってからは、富蔵と絵美の言う事
は忠実に守って働いてくれた。

食堂の仕事も何も問題なく営業していたが、富蔵が襲った相手の事は新聞に
もラジオにもあれだけの多額の現金を盗まれたのに、一行も書いては無く、何
も世間の噂も無かった。
全てが闇の世界で出来た事で、彼等がスネに傷がある人間と言う事が知れた。

多額の現金は、当時のブラジルのインフレを考えてドルと英国のポンドに交換
された金で、資金がある人間が普通にする事であった。その金額は5万ドルと
5千ポンドの金額であった。
当時、日本の富蔵が住んでいた田舎では、校長先生あたりが50円程度の月
給で高額給料といわれていた頃で、為替交換率で1円が1ドルの当時では巨
額な金であった。

足の膝も皿が割れるぐらいの強打を与えたので暫くは病院での治療が必要
と感じていた。
しかし、いつかは彼等の復讐と仕返しが来ると感じていたが、その現実が起
きて来た。

1ヶ月ほどして、新聞に二人の若い男が殺されたことが出ていた。
酷い拷問を受けて、首にはなめし皮の幅広の皮が巻かれて窒息していた。
直ぐにパブロが彼等の仕業と教えてくれた。

拷問して白状しないと、水に浸して濡らした薄いなめし皮を喉首に巻いて放置
すると、それが乾燥してゆっくりと喉を絞め、最後は窒息するという残酷なリン
チ刑罰である事を教えてくれた。
それをされると大抵の屈強な男でも自白するということであった。

富蔵は用心して外出は控え、様子を探っていた。

パブロが昔の浮浪者仲間に金と食事を与えて街中の様子を探らせたが、直
ぐにその様子が富蔵達に分かった。街の浮浪者達は自衛して必ず何人かの
仲間で生活して、殺された仲間達の二の前にならぬ様に注意していた。

パウロが富蔵から貰った金で、闇の仲間から拳銃を2丁買い入れて来た。
それを昔の浮浪者仲間のボスに用心する様に渡した。すでにその時は6人も
の男達が同じ様な拷問を受けて、中には手や、足を切り落とされた残酷な死
体も在った。

それがサンパウロの郊外の野原に捨てられえていたが、全部市内から誘拐
されて、連れ出されて惨殺されてものであった。

パブロの昔仲間の浮浪者が食事を貰いに来て、浮浪者仲間が殺した相手を
目星を付け、市内の居場所を探していると言う事であったが、二人とも足を引
きずって歩いていると言う事で、直ぐに相手を探し出せると話していた。

彼等が富蔵に盗られた金に執着したばかりに、浮浪者仲間に一人は射殺さ
れ、街路樹に首に縄を付けられぶら下げられた。

他の一人は同じく殺された浮浪者仲間と同じ様に、拷問され手足を切られ歩
けなくして、後ろ手に縛られ、首に濡れたなめし皮を巻かれて、それが乾燥し
てなめし皮がちじみ窒息していた。
警察は浮浪者とギャング仲間の抗争と新聞に発表していた。

パブロはそ知らぬ様子で自分の手を切られた復讐を、彼等から奪った金で
返していた。パブロ・パウロが富蔵にパウロと苗字を呼ばれても、答えはハイ
の一声で答えていた。それだけ富蔵と絵美を信頼して、忠義に働いていた様
だ。
その後、砂金探しの重要な事が動き出していた。
それはサンパウロの新聞に短く書いてあった。
「リオ・ベールデ周辺を仕切っていたボスが砂金での資金抗争で死亡して、
新たな採掘の動きが起きて来た。」と書いてあった。

その事は、多くの浮浪達も一攫千金の夢を持って、その地域に流れていた。
パブロがそんなある日、富蔵に、「チャンスが来た、浮浪者仲間に砂金採掘
資金を貸し、自衛の武装をさせ、砂金の7割は発掘に参加した者の利益にす
る」という事を
提案して来た。富蔵はその話を聞いて、直ぐに行動を開始した。
それだけの資金が、奪ったカバンに入っていたからであった。

富蔵は16歳で家を出て、田舎の実家の家族に何一つ仕送りなどした事が
なかったので、サンパウロに落ち着いて実家と手紙のやり取りも出来る様に
なり、初めてまとまった金を送った。
これからの仕事で有金全部を無くすかも知れないと考えたからであった。

計画が実行に移され、パウロが裏で動いて口を利いて、彼等が残した地図
から砂金の在り場所を簡単に目当てにして探す事が出来ると考えて、選り
すぐりの昔の浮浪者や、無職の男達がパブロの誘いで7人ほど集まり、全
てパブロが仕切り動き出したが、取り分が7対3で砂金堀りの男達に有利
に取り決めていた。

その誓いは十字架を浸したピンガの酒を皆の前で飲み、誓う簡単な事であ
ったが、破れば死と言う事も誓いの内に入っていた。

砂金堀りの機材や当座の資金から食料や医薬品まで、新に買い込んだト
ラックに積み込まれて出発して行ったが、それらの男達は十分に武装して
自衛していた。

各自が拳銃とライフルや散弾銃を持ち、中にはアメリカ製のトンプソンマシ
ンガンも2丁含まれていた。

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