私の還暦過去帳(301)
『もと百姓が見たインド』
アジャンタ石窟群を歩き始めて感じたのは、各洞窟内部の装飾と、そこに祭
られた仏陀の石像の姿が各窟毎に違う事でした。
昔の完成した当時は絢爛たる色彩で輝いていたと想像できる壁画もありまし
た。私が驚いた事に、中の一つの壁画に中国人の女性の装飾で描かれた
壁画が残っていたからでした。
日本の飛鳥の壁画に残って居るような服装で描かれていました。ガイドが
照す懐中電灯で見える薄暗い光の中に浮き上がって居ました。
遥か遠い中国からの影響です。シルクロードを超えてきた影響と思います。
16窟の前には強大な象が岸壁に刻まれていました。そこの仏陀は自然に
両足を床に当てた状態で座して居る仏像でした。他の多くは座禅を組んで、
手は座禅の様式で手を組んでいる姿でした。
間接照明の光の中で静かに幾多の年月を座しているのを見ると。これから
も天変地変が起きない限り、永遠にその姿で世の中を見詰めていると思い
ました。
日が上がり暑くなりましたが、暑さなど気にならないほど心が高ぶっていま
した。
各石窟の中に入ると、ひんやりとした冷気が感じられ、見学者が途切れた
静寂の中で、自分が一瞬にして千年の昔に飛んで過去の歴史に、タイム
マシーンで歩いている幻想を持ちました。
特に第24窟の中では完成前に放棄された石窟ですが、今にもその工事
人夫達がゾロゾロと戻って来るのではないかという思いが致しました。
その現場を見ると、いかにして石窟が掘られたかと言う事が一目で分かり
ます。
先ず天井部分から完成させられ、ついでに内部の50cmもある大きな石柱
も上部から掘られたと言う事が分かります。石窟の内部は出口に向かって
ゆるい傾斜となり、手押しの車などで、簡単に重い石クズを運び出す事が
出来たと想像いたします。
内部の状況からして一度に大勢の人達で工事をしていた状況が分かり、
その工法もかなり専門的な知識と測量方法で掘り進められたと感じました。
その近くで日本人らしき方に出会いました。それは先ず直ぐに感じたのは
色が白いと言う事と、暑いので腰に手ぬぐいをぶら下げていたからでしたが
、何と大学の先生でした。
なにやら図面を書いて、その石窟の内部の間取りを研究し、その大きさや
高さ、幅や模様の飾り石柱などの数も調べて居たようでした。
緻密な間取りです、その図面を見せていただきましたが、よくもマー!とい
う感じの精密な間取り絵図でした。
アメリカにも留学されたその道の専門家と言う事でした。おかげで学問的な
専門話しをお伺いする事が出来ました。
そのお話で・・、あれー!と驚くような現場を案内して、見せて頂きました。
昔の人も、そそっかしい人が居たのですね!
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