2012年10月28日日曜日

第3話、伝説の黄金物語、(23)


 地主達の反撃、

私も南米各地を歩いて、当時3人ほどのガンマンと言う人を見ました。
若い人は居ませんでしたが、年配でかかなりの年齢でした。

彼等が活躍した時代には、まだ南米奥地では司法の力が及ばなかった場
所が沢山あったと思います。
22口径のライフルでウズラを撃ち落としていたのを見ました。
普通は散弾銃で狩猟するのですが、彼は小口径ライフルで撃ち落してい
ました。
飛んでいる鳥をライフルで撃つのですからかなりの熟練が要る射撃と思い
ます。結構な年齢でしたが、その運動反射神経は抜群と思います。

また他所で、かなりの年齢の老人でしたが、旧式な拳銃でワインのコルク
栓を瓶に立てて、それを吹き飛ばして見せてくれましたが、6発全弾を命中
させていました。
大型の銃身が長い、百年も前の拳銃です、ここではこんな物が必要になる
時があると話していましたが、実に簡単に撃ちますが、それが全部命中し
てコルクが吹き飛ぶ様をみて、びっくりして驚いていました。

あと一人は腰に差した38口径の拳銃でオレンジやリンゴを空中で当てる
曲撃ちでしたが、100発100中でした。
オレンジの実が空中で吹き飛ぶ様は見事でした。
後ろ向きで声を掛けてオレンジを空中に投げ上げると、くるりと向き直って
同時にホルスターから抜き撃ちに撃って命中させていました。

私が見た当時のガンマン達は今では誰も生きてはいないと思います。
彼等が活躍した年代は1900年の前後か、その時代の初期と思います。
48年前にはそんな老ガンマン達が生きていたのです。

富蔵達が活躍した当時のブラジルでも賞金稼ぎと言う職業があったのです
から、犯人追跡と銃に命を掛けた男達が居た事も不思議ではなかった世の
中と思います。
富蔵もサンパウロと行き来するうちに、アマンダ兄弟の事務所近くで売り家
を見つけて、そこに砂金採掘場の事務所として、町に仲間が出てきた時に
は泊まれる様にもしていた。

ある日、富蔵が朝早く馬で砂金採掘現場に出かけて行ったその日に、誰か
がダイナマイトを玄関に仕掛けて爆破させた。
朝早く出かけていなければ確実に死傷していたと感じていた。

アマンダ兄弟の事務所も少し被害が出た。しかしその犯人を銀行の玄関で
警備していた賞金稼ぎだった父親の方が目撃していた。
銀行の前で日差しを避けて木陰でベンチに座りひっそりと座って外を見てい
た時に仕掛けを持って来た男を目撃して覚えていた。

足が悪いのでベンチに座って、イスの裏にはレミントン散弾銃に鹿弾を入れ
て立て掛けてあった。
爆破騒ぎが起きてからは砂金採掘現場に泊まって居たが、富蔵の耳にも
パブロにも直ぐに貴重な情報が入ってきていた。

ボート転覆で生き残った地主達が集まって、新勢力のアマンダ兄弟や富蔵
達のグループを追い出し、抹殺を図って居るようであった。
危険な事であるが、先ず情報を集め下準備をしてその彼等の陰謀を打ち砕
く事を考えていた。

アマンダ兄弟の親戚女性が地主の家にメイドとして働きに出ていた。
地主の家族達の話を立ち聞きして情報を知らせてくれた。
『近日中に多量のダイナマイトが送られてくると言う』ホットな話であった。

日時は分からないが、必ずリオ・ベールデ駅に鉄道貨物として到着すると予
測していた。直ぐに駅の貨物取り扱い用務員の身内に話がつき、送られてく
る荷物を看視していた。サンパウロから大きな木枠梱包で2箱、取り扱い注意
の張り紙をした荷物が到着した。
推定で40kgは中身があると感じた。
荷物を取りに来た男の馬車を何処に運ぶか追跡させた。

銀行が祝日の休みなので、賞金稼ぎの男が追跡を引き受けてくれた。
馬で身軽にジャングルの中や茂みを抜けて、町からさほど遠くは無い牧場ま
で荷物が届けられた事を確認して来た。

後の対応はそれほど難しくはなかった。
暇な若い賞金稼ぎに話を付けて、その家を見張らせていたが、
必ず次の地主達の犯行があると感じていたので、先手を打って対応する事に
していた。
先ず牧場主の小屋に狙いを付けて、そこに収納されているダイナマイトを爆破
か使用不能にすることが一番と考えていた。

地主達が資金を集めて対抗を本格的に計画していると感じて、用心に越した
事はないとアマンダ兄弟達とも協議していた。先ず牧場主の番犬を誘い出して
殺す事から始めた。
2匹の犬達は毒殺されてしまった、それは簡単に済んでしまった。

偵察に出たアマンダの仲間がダイナマイトを確認して、次の爆破の用意がす
でに出来あがっている感じであった。
危険な事である、次に何処を襲われるか心配であり、町で地主達との対立が
本格的になって来て、アマンダの運送業を邪魔して来た。

ダイナマイトを牧場に隠している地主が主導していた。

アマンダ兄弟は親戚のブラジル陸軍で工兵隊に徴兵で居た男を連れて来た。
爆破などの専門知識を持っている親戚で、爆薬やダイナマイトなども簡単に扱
え、今ではアマンダ兄弟達と運輸の仕事を手伝っていた。

このままでは、やっと本格的に動き出した運送業が中止される危険性まで出
てきた。アマンダ兄弟達はやられる前に行動を起こすと決めた。
ある夜、工兵隊出身の男が小屋に、賞金稼ぎの若い男の護衛で忍び込んだ、

ダイナマイトを収納してある頑丈な物入れに100グラムのダイナマイトを触発
雷管を付けて仕掛けて来た。
誰も知られることなく済んでしまったが、その結果は直ぐに町まで響く大爆発
で結果が判明した。
大音響のあと、黒煙と炎が立ち上るのが目撃された。

仲間の知らせが直ぐにアマンダの事務所に届けられたが、劇的な様を見てい
るような感じであったと報告が来ていた。それは小屋がまるで綺麗に吹き飛ば
した様に消えて無くなり、近くの母屋も半壊していた。

そこには無残に千切れた遺体が4体あったということで、全員地主達の遺体
で、小屋の焼け跡から、同じ目覚まし時計が10個も出て来て、中には起爆
装置に使われて居た時計も出てきたので、前回の爆破事件と同じ目覚まし
時計で犯人が警察の調べで判明した。

翌日の新聞では地主達がダイナマイトを使って対抗する業者の建物や施設
を破壊しようとダイナマイトに起爆装置を付けている時に誤って爆破したと報
じられていた。
新聞には前回の爆破も地主達の計画であった証拠が出て来たと報じていた。

あまりの爆破の大きさで、彼等が不必要な量のダイナマイトを多量に隠匿し
ていたと警察のコメントが出されていた。
地主社会ではこの事件ですっかり鳴りを潜めて、4名の仲間地主達が死に、
犯罪と言う事が表に出て来て、家族達も何も対抗することは無かった。

砂金採掘も多くの地主達の死に、すっかり塗り変えられた勢力地図に誰も文
句を言う者は居なかった。古い地主社会が自分達が掘った墓穴に埋もれてし
まった感じであった。
しかし、しばらくは賞金稼ぎの親子の勧めで、仲間の若い賞金稼ぎが富蔵の
護衛に付いていた。オラシオの友人で拳銃の曲撃ちが出来る腕を持っていた。

驚くほどの反射神経と、機敏な運動神経を持っていた。
名前はモレーノと言った。
モレーノが富蔵の勧めでサムの飛行学校でパイロットになる訓練を始める事
はその後直ぐであった。

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