2012年10月25日木曜日

第3話、伝説の黄金物語、(22)


危険地帯の用心棒、

富蔵がリオ・ベールデの町に戻り、銀行の開店祝賀に参加する為に
滞在していた時に、足を負傷して助けられた賞金稼ぎの親子がお礼に訪ね
て来た。富蔵になめし皮で作った帽子を持って来ていた。

父親の足は良くなったが、まだ足を引きずって歩いていたが、すっかり元気
になり、事故で足を切り落とす事も無く歩けるようになったのは富蔵のお蔭と、
何度も感謝の言葉を述べていた。

富蔵はふと、先ほどアマンダ兄弟と話していた銀行の警備員の事で父親に
仕事が欲しくないか聞いた。
すぐさま『仕事が欲しいが、世話をして貰えるのか・・?』と聞いて来た。

開店する銀行の警備員として、2名必要としていると話すと、すぐさま
『お願いできるのですか・・』と聞いて来た。
富蔵は二人を連れてアマンダ兄弟の事務所に出向いた。

直ぐにその場で採用が決まり、契約書にサインして警備内容などを教えて
いた。新品のコルト拳銃に、警備員のバッジとレミントンの散弾銃が用意され
ていたので、親子に渡した。

これで銀行が開店する前に全てが揃った。警備の一人は事務所内で、外の
入り口前にもう一人警備すると決まった。
就職祝いに近くのバーに二人を連れて歩いて行ったが、銃器は事務所に置
いてきた。

テーブルに座りパブロも同席して冷たいビールを開けた。
乾杯のグラスが鳴り、親子の門出を祝った。
その時、バーに地主の息子達が2名入って来た。富蔵達をジロリと見るとや
っかみ半分で富蔵達をカラカイ始めた。

無視してビールを飲んでいたが、酒に酔った若い地主の息子がテーブルに
近寄り、富蔵に絡んで来た。
富蔵達が席を立ち、出口に歩き出した途端に、『ナーボ(大根野郎ー!)』と
言う声と同時に立ち塞がった。

日本人が大根を沢山作り、沢庵や切干大根などを作るので、ブラジル人が
軽蔑の言葉に使う様であった。
若い酔っ払いが富蔵の胸倉を掴むと同時に激しく床に叩きつけられていた。

柔道の足払いが決まったようだ。したたかに床に叩きつけられていた。
男はフラフラとした足取りで富蔵達を追い掛けて来た。

アマンダの事務所に入ろうとした時、先ほどの地主の若い酔っ払いの息子
の手に拳銃を握っているのが見えた。いきなり1発拳銃を撃って来た。

瞬時に賞金稼ぎの父親が上着の下から拳銃を取り出すと、相手が2発目
を撃つと同時に撃ち返していた。

たった1発の反撃で相手は胸を押さえて立木に寄りかかると、崩れるよう
に倒れて行った。多くの人が見ていたが、直ぐに廻りは人だかりの山とな
り、地主の若い仲間達が撃たれた男を抱えて病院に連れて行く様を見て
いた。
しかし若い酔っ払いの男は即死状態であった。
富蔵は話しに聞いていたが、賞金稼ぎの父親は凄腕射撃の名手と言う話
のごとく、射撃の腕の良さを改めて知らされた。

それとその様な射撃の上手な男が銀行警備で働いていると知れると銀行
も良い宣伝となった様だ。
今回、地主の息子が起こした騒動は酔っていたとは言え、哀れであった。
早く言えば無駄死にであった。

巡回法廷が町で開かれ、地主の息子が酔って、富蔵達がアマンダの事務
所に入る所を外の道から拳銃で最初に2発狙撃したのを誰でも見ていた
ので、自衛の反撃と言う事で不起訴になった。

この事が後で地主達の遺恨を買ったのかもしれない

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