2012年9月2日日曜日

死の天使を撃て!


第2話、ブエノスに遠い国から来た狼達、‏
 

44)エンカルの置き土産、

ヨハンスは児玉氏の話を聞くと、座り直して真剣に話して来た。
彼の興味が半端で無い事だ分った。
私が注ごうとしたビールも手で遮って注がせなかった。

彼は私と児玉氏の顔を見ながら・・・、

『私の農場に居た客人も居なくなり、父も狭心症の発作でこれから
 は仕事も無理になったので、父の農場に戻り、今の農場は使用人
 に任して、前から考えていた修理工場をやりたいと思っていたので、

 結婚して、父の家からはエンカルまで簡単に通えるから、それと
 教師をしている婚約者が、そのままエンカルの学校で仕事をしたい
 と願っているし、私の母も家に戻る事に大賛成なので是非この話を
 まとめたい・・!』と、話をして来た。

私は児玉氏のグラスにビールを注ぐと、『これで決まりだな~!』
と言って、ヨハンスにもビールを注ぐと受けてくれ、吉田氏と健ちゃん

にもグラスに充たして、『ささーー!これで乾杯~!』と言って
グラスを合わせた。

健ちゃんが飛び上がって喜んだ。ヨハンスも健ちゃんと抱き合い、固く

握手していた。
児玉氏に、『これで良いのか・・!』と念を押した。彼は了解して、
私に固く握手して来た。

その夜は皆と酒宴が盛り上がり、二人もお客が増えて、遅くまで賑や
かであつた。
私は吉田氏を部屋の外に呼んで、半分の1500ドルの現金が有る
か聞いた。

少し困った様な顔をしていたので聞いたら少したらないと言う、どの

くらいかと聞くと、『400ドルぐらいだーー!』と教えてくれた。

私は『これからの健ちゃんの将来を考えて、不足分は私が彼に投資す
る・・!』と話して安心させた。

私は明日の事を考えて、酒席を切り上げ、ヨハンスに意味を教えて、
シャンシャンと手拍子で話を閉めた。

児玉氏はアッと決まった今日の話に驚きを隠そうとしなかった。
そして帰りに何度も私の手を取り、握手して、明日の朝8時に彼の店
での正式契約をする事を約して、その夜は別れた。

ヨハンスも興奮して夢が適う事に嬉しそうな感じであった。
明日はサルタに向けて出発は無理と感じた。

ルーカスも何か、今までのストレスを発散するかの様に、したたかに飲み、
ぶっ倒れて寝てしまっていた。
ヨハンスも明日の8時の約束をすると帰って行った。

静かになった部屋で、健ちゃんと向き合って、これからは自分の人生を、
自分の手で切り開いて行く事を話し合い、夜空に南十字星が輝いて綺麗に

見えるのを、二人で見上げていた。

ふと自分も18歳の時に家を出て、これまで走り抜けて来た思いを、
脳裡に思い出していた。

次回で『死の天使を撃て! 』編の最終回となります。

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