2012年8月31日金曜日

死の天使を撃て!

第2話、ブエノスに遠い国から来た狼達、‏


 43)別れの宴、

健ちゃんはエンカルの町を、なれた感じで運転して行った。
私はお土産を買いに日本人の平氏の店で買物した。これから健ちゃんの家を
訪ねるのに、色々な目に付く美味しそうな物を買った。

健ちゃんは、嬉しそうに見ていた。おそらく今夜が最後の食事となり、明日は
お別れになると感じていたから、ビ-ルなども買って吉田氏の家に戻った。

ルーカスの犬も喜んで、早速に出迎えた犬達とじゃれて遊んでいた。
私は庭でバーべキューの用意を始めて皆が揃うのを待っていた。

健ちゃんは先ほどから風呂に水を入れ火加減を見ながら、風呂を沸かし始めた。
奥さんは私達がそろって戻って来たので、忙しく台所で夕食の準備を始めていた。

その時、吉田氏が帰宅して、健ちゃんが父親の手を引き車を見せていた。
驚いて私に聞いて来た。『どうしてこんな子供に・・!』
と言うと『随分値段がしたでしよう・・!』と言って聞いて来た。

私は、『知り合いから安く譲ってもらった・・!』と言って
車検証を見せた。買主欄に『Kenichi Yoshida』と記入されているのを見て、
吉田氏はもっと驚いていた。

私は事情を説明して『これからの仕事と、日本人社会の為に使ってくれ!』と話した。
『また来たら乗せてもらうから、健ちゃんに預ってもらう』と言って安心させた。

健ちゃんは今までバイクと馬車での仕事で時間が掛ったので助かると話していた。
それと耕運機での運搬は遅くて、余り積めないからどれだけ助かるか・・!と
ハンドルを握り父親に計器類を説明していた。

火に乗せていた肉が焼けて、あたり一面に美味しい匂いが漂い、台所でも何
かご馳走が出来ていた。
下の二人の弟と妹がテーブルを作り、母親の手助けをしていた。

健ちゃんが風呂が沸いたと言って来た。
『一風呂浴びてから食事にしよう・・』と話して来た。

私は喜んで風呂を浴び、浴衣を借りて着ていた。何か日本に居た時を思い出していた。
ルーカスが珍しそうに見ていた。

食事時間となり、ビールの冷たく、キューと喉にしみる感じで乾杯して、
食事が始まった。
家族的な暖かさがテーブルに漂い、何もかも忘れる感じて心豊かに楽しんでいた。

表の入口あたりで犬達が騒いで誰か来た感じがした。
健ちゃんが出て行き、知り合いの児玉氏を連れて来た。

私も知っている人で、エンカルで小さな整備工場を開いていた。
移住地から出てきて、農場と掛け持ちで人を使い車やトラックターなどを修理、
整備していた。
日本でも仕事をしていたのでかなりの腕を持っていた。

彼は私が勧めるビールを飲みながら話してくれたが・・、
『日本に帰るから、誰か店を引き受けてくれないか』と話して、事情を説明して
くれた。
『兄が交通事故で急死して家を継ぐものが居なくなった。』と言った。

『子供がなくて養子をと話していた時で、困っているから・・・!』と言うと、
『日本の春の植え付けまでには帰りたい』と言うと、吉田氏に相談していたが、
『整備工場と工具一式で妻と子供の飛行機代が有れば』と話していた。

『妻が妊娠して長旅の船は無理だから!』と言うと少し困っていた。
私は酒を注ぎながら売値を聞いた。指を3本出して来た。
『ドルで3千ぐらいか・・!』と言って私に聞いて来た。

『妻を送り出して直ぐに自分は家財を持って船に乗船するから・・!』と言うと、
真剣な顔をして私を見ていた。
健ちゃんはパートで仕事を手伝っていたから、話を聞いて凄く乗り気でいた。

真剣な顔で私を見ていた。また表で車が止る音がして誰か訪ねて来た様だ。
健ちゃんが出て行き、ヨハンスを連れて来た。

私はグラスを差し出して、ビールを注いで乾杯した。
飲みながら今までの話をして、児玉氏を紹介した。それから話が急展開して行った。

健ちゃんが目を大きく開いて見詰めて、聞き耳を立てていた。

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