2012年8月25日土曜日

死の天使を撃て!



 第2話、ブエノスに遠い国から来た狼達、

40)病室での敵味方、

我々が歩いている後ろから付いて来た馬が、良く見ると2頭いた。

我々の後を付いて来ている、担架を持って歩いているから、馬も時々草を
食べては、我々のゆっくりした歩調に合わせて歩いている様だ。

フォードの車が見え、ホットした。健ちゃんの運転してきた車は側に停め
てあった。
早速、後部座席を倒して担架を入れた。

ヨハンスと健ちゃんが前に乗り、ヨハンスの実家の使用人が父親に付き
添った。
私とルーカスは犬を乗せてフォードの車に乗り藪の中に突っ込んだ車を
出したが、三発ほど弾が命中して穴が開いいたが、エンジンは何ともなか
った。

フロントガラスの運転席側に小さな穴が有り、ガラスの穴から、ひびが走
っていたが、運転には何も差し支えなかった。

私は健ちゃんの後を付いて行き、診療所の病院に着いた。すでにマリオの
手術は終っていた。簡単な手術だった様で、輸血の必要も無かった。

車から担架で運び出されたヨハンスの父は、直ぐに医者の手当てが行われ
ていた。
私はヨハンスを病院の前庭の木陰に連れて行くと、全てを順序立てて話した。
彼は何も言わずに聞いていた。

私が話しをあらかた終ると、彼は、父を車から降ろす時に私に話してくれた
と言った。
それは『ルーカスが自分を助けたから、客人を狙撃出来ずに逃したーー!』と、

『三人の父の使用人は長い間働いている、15年近くも仕事をしている忠実
な現地人で、まるで父の私兵の様だ・・』とも言った。

ヨハンスは私の手を握り、『お互いが信念として、命を賭けて動いた今回の
出来事を水に流してくれないか・・!』と聞いた。

『私の父もこれが最後になると思う、今度また発作が起きたらおそらく命は
無いから!』と言うと、『これから父の使用人を警察から受け取ってくるから、
貴方も来てくれーー』と言った。
近くの警察の事務所に行き、受付けで用件を話すと、直ぐに裏の小さな留置所
に案内してくれ、『この男かーー!』と聞いた。

『そうだ・・!』と答えると、受付けに戻り、タイプを打って
『釈放同意書だ、サインしろ』と言った。
私はサインして彼が保証人だとヨハンスを指差した。
すぐに事務の男は現地人の使用人を連れて来た。

ヨハンスはいくらかの金を渡すと、『これで食事をしてから、馬が2頭、現場
にまだいるから連れて帰ってくれ』と指示して病院に戻った。

病室に行くと驚いた事に、四人相部屋で、マリオとその横に陳氏が、向こうに
ヨハンスの父親と足を負傷した使用人が仲良く寝ていた。

何か笑いがこみ上げて来た。
ルーカスも笑っている、おかしさを堪えきれない様で、外に出ていった。

私は『ここは病院だから、拳銃やナイフの類の凶器は持ち込めないよーー!』
と言った。
マリオが『笑わせないでくれ・・、傷が痛む・・!』と言った。
私は『そのくらい元気なら大丈夫だ・・!』と言って部屋を出た。

ルーカスとヨハンスを誘って、近くのカフェー兼、レストランの小さな店に
入り、ランチを注文した。
ビールを注文してそれをグラスに注ぐと、カチーンと合わせて飲んだが、
全てが流れて、消えて行く感じがした。

遅れて健ちゃんがやって来たが、何か慌てている感じたした。

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