2012年8月18日土曜日

死の天使を撃て!

 第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』
 
 
  (37)突然の襲撃者、

私は聞き耳を立て、エンジンの音を聞いていた。

突然銃声が遠くでして、また撃ってきた。弾が前のバンパーに当たった。
『カーン~!』と甲高い音がして、弾はどこかに飛んで行った。
正確に射撃をしているのが分かった。

私は前輪の横でライフルを構えて、銃身をバンパーの横から出して、撃ち返し
ていた。考えると、マリオと私が車の陰に釘付けになっていた。

しかし、動く事はもっと危ないと感じた。
相手もこちらがサブマシーンガンとライフルを持っている事を知っているので、
かなりの距離から狙って来ていた。

私は弾が弾倉に残り少なくなったことに気がつき、弾をマガジンに挿入して
補充しようと、タイヤのホイルの横に身を潜めて、弾を入れ始めた時に
クローム・メッキのタイヤホイルのピカピカに凸面鏡の様に光った部分に微か
に人影が見えたような気がした。

後部タイヤの横にはマリオが伏せて身体を休ませていた。

だんだんとエンジンの音が近くなった。
しかしジーゼルエンジンの音で、大型トラックが爆音と埃を上げてスピード
も落さずに過ぎて行った。
アッと言う間で、飛び出して助けを呼ぶことも出来なかった。

しかしその轟音の中に人影が音を殺して、近ずく気配がホイルに写していた。
凸面鏡の原理でかなりワイドに背後の景色が見えた。

キラリと山刀が光ってマリオを狙って襲う感じがしていた。
『危ないーー!』と感じてホイルの鏡を見ながら間合いを見ていた。

サブマシーンガンを狙っていると感じた。

襲撃者に覚られない様にして、腰のホルスターから拳銃を抜撃ち出来る様
に構えて、ルーカスが罠の用心にベニア板で作ってくれた板を、伏せるの
に身体から外して、地面に置いていたから、その皮ひもを片手に握り、気合
を入れて間合いを計っていた。

相手が一瞬の隙を狙った感じで、ダッシュして突進して来た。

私も全身の力で飛び起きて、マリオの上にベニア板をかざして山刀の振り
下ろすのを止めた。
『パターン~!』と山刀がベニア板に当たり、横に滑った。

同時に私の拳銃が火を吹いた。

私は相手を突き飛ばす感じで体当たりをしながら、至近距離から、おそら
く拳銃の銃身は相手の足に触っていた感じで、膝の辺りを、三発ぐらい連射
していた。

マリオが驚いてガンに手を伸ばしていた。
マリオが身体を起して、サブマシーンガンを構えた時は、襲撃者は足の膝
を撃ち抜かれて、山刀は放り出して倒れていた。

危うい所で有った。私は事の成り行きを確認するとまた車の陰に隠れた。

マリオが銃を構えて車の陰から相手を狙っていたので、血が噴きでる足を
押えて、もがいている現地人の襲撃者は観念したような感じで、へたり込
んでいた。

その時、水笛が鳴いていた。私はルーカスの笛と感じた。彼は戻って来た
と感じた。
長い様な時間であったが、まだ幾らも時間は経っていなかった。

水笛は『来いーー!来いーー!』と呼んでいた。

気がつくとライフルの射撃が止っていた。

シーンとして静かなジャングルの中に、微かに犬の威嚇する、『グワ~!』
と言う声が聞こえて来た。
私はきっと背後からルーカスがライフルで私達を撃ってきた男を捕まえた
と感じた。

マリオに用心する様に言って、彼が肩のホルスターに入れていた拳銃を出
してやり、スライドを引いて弾を装填して、安全装置を掛けて彼の手に握
らせた。

先ほどマリオを乗せてきた馬は銃声で、どこかに消えていた。
急いでルーカスが呼んでいる所に駆け付けたが、やはりライフルを撃って
いた男は、後ろ手に皮ひもで縛られて転がされていた。

ライフルと弾帯、それに山刀は側に投げて有った。

ルーカスは『やれ・・、やれ・・だな~!』これで一安心、また追跡を始
めるから、今度は馬で追い駆けると言って馬を探しに行った。
トランシーバが呼び出しをして来た。直ぐに現場に着くと言った。

ルーカスの犬が耳を側立てて、音を聞いていた。
私を見てから『来たーー、来たよ!』と言う様に見上げていた。

私は襲撃者を起して、ライフルと弾帯を掴むと拳銃で威嚇して歩き始めた。
現地人はうつむいて、とぼとぼと歩いて来た。

ルーカスが馬を掴まえた様で、それに跨ると川沿いの小道を犬と早足に
消えて行った。
健ちゃんの運転する車が見えて来た。

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