2012年8月8日水曜日

死の天使を撃て!

第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』



(32)抹殺の理由と目標の名前、

グラスをテーブルに置くと、店主はイスにどっかりと座ってマリオも座らせた。

彼はおもむろに口を開き・・・、

『ここまで来る道程は長い忍耐の道であった・・。
 貴方達が標的の存在を確認して、人類の敵として
 抹殺することを承諾してくれ、心安心している。
 彼は幾多のユダヤ人をこの世界から虐殺して抹殺
 してしまった。
 
 その罪は計り知れない人類の敵だ、許す事は出来
 ない、子供や老人、平和な世界で幸せな家庭を営
 んできた人々を、ただユダヤ民族との差別で皆殺
 しを図り、それを忠実に賛同して実行した人物を
 逃す事は出来ない、私の両親も兄弟姉妹も全てが
 殺された。
 
 マリオもそうだ、私は留学していて家族で一人助
 かった。マリオは私の遠い親戚だが血が繋がって
 居るのは、この地球でこのマリオしか居ない、
 哀れな事実である・・!
 
 貴方がたが標的とする人物の前歴と経歴を知りた
 いのであれば、全てをここでお話して抹殺するだ
 けの価値がある、抹殺されなけれがならない、
 その報いを受けなければならない人間と言う事を
 証明して、その証拠の数々の記録を貴方の眼に見
 せましょうー!

 そしてその抹殺行為に対しては、私が全責任を負
 い、貴方に一切の迷惑や罪の訴追が有れば私の全
 ての能力と、財産と、民族的支援を持って守る事
 を誓います・・・!』

彼はそれだけを言うとマリオを見た。

彼も黙ってうなずいて了解した。グラスにもう一度酒を注ぐと私のグラスに
注ぎ足して、彼はマリオと二人でグラスを合わせた。
静かな部屋で、グラスが微かな音を響かせていた。

私は店主に・・・、

『標的はルーカスが撃つから彼に聞いてくれ・・!、彼が希望
 するのであれば、彼に全部話してくれ・・、私は聞きたくない
 と思っている、聞いて、後で思い出し、心悩むような事はした
 くない、成り行きの道筋で貴方がたに出合い、知り会ったが
 直ぐに別れて、二度と会わないかもしれない一期一会の出合い、
 なるべく心には重荷を持ちたくはない・・!』と言うと

ルーカスを見た。彼は手を挙げて、
『理屈はいらない・・、俺は忠実に命令を実行して、その報酬を
 貰えば良い・・、ただそれだけだ、』手を振り、拒絶のゼスチャーを示した。

そして、グラスの酒を飲み干すと部屋の外に、テーブルに置いていた拳銃を
カバンに入れると、犬を連れて出て行った。

私はマリオに車のカギを頼んだ、彼は店主と何か話しをしていたが直ぐに、
奥からカギを持って来て、ワゴン型の屋根付きジープを見せてくれた。

彼は『中古の売り物だけど、全部オーバーホールをして何も問題はないから』
と渡してくれた。

ライフルは皮のケースに入れ、荷物を持って車に乗車して、ルーカスと犬を
乗せてエンジンを掛けた。

軽い音でスタートして、夜もかなり深けた町に走り出た。

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