死の天使を撃て!
第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』
(29)射ち合いの銃声、
吉田氏に今夜は遅くなると話して出かけた。
ルーカスの犬は置いて来たが、縛ってはいなかったので後を付いて来ていた。
マリオが運転する車で店に着いた。雑貨店は閉まっていたが、質屋の方は
開いていた。
夜遅くても客が来ていた様で、店の裏に廻って中に入った。
しかし店の主人にお客があるから、しばら待ってくれる様に主人から伝言が
有った。
時間で40分ぐらいと伝えて、コーヒーを置いて行った。
私はマリオに近所の日本人の店に行ってくるから、車のカギを貸してくれと
言った。マリオは直ぐにキーを渡してくれ、『遅くならない様に・・!』と
注意してくれた。
ルーカスと外に出ると、なんとそこには犬が『へーへー!付いて来ましたよ~!』
と言う感じで座っていた。
憎めない犬で、呼ぶと喜んで尻尾を振って付いて来た。
車のドアを開けて、乗り込もうとした時、質屋のドアから現地人が出て来た。
少し足を引きずり、近くの立木に縛ってあった馬に乗馬すると、どこかに立ち
去って行った。
私は直ぐに質屋に戻り何しに来たのか聞いた。使用人はライフルの弾を買い
に来ていたと話した。
今時遅い時間ではこの店しか開いてはいないから、何か『ピーン!』と来た。
何発買ったか聞いた。『15発・・』と教えてくれ、44口径のブラジルのCBC
の弾と言った。
私はウインチェスター.ライフルの口径と思った。
旧式なレバーアクションのライフルで、せいぜい100mぐらいが有効射程で
ある。
それだけ聞いて、私は急いで外に出て、ルーカスに犬と共に店から消えた男を
追跡する様に話した。ルーカスも気が付いていた。
『あいつに間違い無い・・!』と言うと、犬に命令すると小走りで追い始めた。
私は車で後を追った。時計を見ていたが、後30分しかないが、それまで追跡す
る事にした。
パラナ河の方に降りて行き、石畳の道をかなり早い足で歩いていた。
私は用心の為に拳銃をホルスターから抜いて膝に置いていた。
ルーカスと犬の後をゆっくりと付いて、時々車を止めながら追いかけていた
が、馬が角を曲がり見えなくなった時に、ルーカスが街頭の微かな明かりの中
から、『来るな~!』と合図を送って来た。
彼の手にも拳銃が見えた。人通りの無い寂しい道で緊張が走った。
突然・・!『パン・パン』と拳銃の銃声がして、『ポーン』とライフルの発射
音が響いた。
一瞬、撃ち合いになったと感じた。ルーカスが犬を連れて走って来た。
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