2012年7月25日水曜日

死の天使を撃て!

第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』


(26)現地人とのトラブル、

しばらく走ってから、日が暮れ出して寒くなり、ジープの日除けのカバー
だけの屋根では風が冷たく、ジャンパーを着て、拳銃を腰の後ろのホルス
ターに入れて夜道を走る用意をしていた。

ルーカスもいつもの肩掛けカバンから、拳銃を鹿皮のなめし皮の包みから
出して、中の弾を確認していた。
用心に後ろの荷台のブローニングのライフルも直ぐ側に引き寄せていた。

いつものロシア人の雑貨屋に『本日牛肉有りーー!』の看板を見て止まり
中に入ろうとしたら、現地人が酒をラッパ飲みしていた。

ジープを止めると、荷台の荷物を見ている男がいた。剥き出しのウイスキ
ーの箱が有り、何やら美味しそうなサラミや缶詰のおつまみが見えていた。

私は中で塊の牛肉を買い、ダンボールに入れて抱えて出てきた。
おまけに貰った筋の固い肉をルーカスの犬に与えて、ジープのエンジンを
掛けようとしたら、一人の男が酔て絡んで来た。

犬が口から肉を離すと身構えて、低く唸り『ぐわ~!』と威嚇していた。
すると男は何を思ったのか、腰に差している、マチェ-テと言う山刀で犬
に切りかかって来た。

犬は荷台から軽く飛び降り、山刀は『カチ-ン』と音をたてて荷台を切っ
ていた。
鋼鉄の火花が飛び、ルーカスが激怒して車から飛び降り身構えていた。
私をかばい、犬とルーカスが男の前に立ち塞がった。

しかし相手は、手慣れた感じで山刀を構えて、喚きながら近かずこうとし
ていたが、ルーカスの手が細かく一振りすると、男は肩を押えて山刀を
『ポロリーー!』と落した。

瞬間ーー!犬が男の足をひと噛みして、パット離れた。アッと言間の事で
有った。重心を失った男は、噛まれた足をかばい横に倒れて唸っていた。

すると他の三人の男達が一斉に酒瓶などを構えて、中には山刀を抜いて構
えた男も居た。危険な事態になり拳銃を確かめて、抜き撃ちの用意をして
いた。

すると店からロシア人の店主が散弾銃を構え、使用人が拳銃を同じく構え
て出て来た。
『うちの店でお客にいちゃもん付けて、酒代をゆするのは止めてくれー!』
と怒鳴った。主人は早くエンジンを掛けて立ち去る様に我々を急がした。

散弾銃に狙われて相手の動きが止り、私は急いで犬とルーカスを呼び、
エンジンを掛けると急発進して店から走り抜けた。

後ろで罵声がして、酒瓶が飛んで来た。
危ない所であったがルーカスは『パラグワイ人は執念深いから注意して・!』
と教えてくれた。
一人が怪我をしていたので少しまずい事になったと感じていた。
しかしその夜は何事も無く農場に帰宅して、ホットしていた。

しかし翌日に仕返しが来た。

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