2012年7月17日火曜日

死の天使を撃て!

第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』


(22)ヨハンスとの出会い、

ヨハンスはどこから来たのか日本人が沢山宴会のテーブルの廻りに居る
ので驚いていた。
日頃は静かな農場は、割れる様に歓声とボリュームを最大に上げた、
カセットテープの音楽と、それと子供達の歌声や歓声と混ざり、ドン
ドンと焼かれる美味しそうな焼肉のタレの香ばしい香りが当たり一面
に立ち込めていた。

ヨハンスに何を飲むか誘った。彼は安心して、知った顔が並んで居る
ので宴会の中に入って来た。
私はぜひ彼と懇意にしたくて先ずグラスを渡して酒の注文を聞いた。
彼はウイスキーを見てそれを注文してきたので、残り少ない氷を全部
入れて水割りを勧めた。

彼は大きなグラスに、なみなみと入れた酒を高く上げて日本語で
『乾杯~!』と叫んだ。皆も『ドーッ!』とグラスを合わせて飲んだ。

一気に宴会の席もなごみ、彼もつまみを皿に取ると食べ始め、ここの
集まりで飲んでくれると感じ、腰を据えて飲む様に酒を勧めた。
酒が好きな様で、話しをしながら私と酒を酌み交わしていたので、
直ぐに同じ様な農業の仕事と、世代が同じで話しの話題が合って仲良
くなった。

健ちゃんもヨハンスとは懇意と見えて、親しく話していた。釣りの
話題から狩猟で射止めた鹿の話までして、健ちゃんに親切に色々と教
えている様であった。
彼は酒の氷がなくなったので、『ひとっ走り・・で、家から取って
来る』と話すと、オートバイを走らせて消えて行った。

10分もかからずに今度は古びたジープで戻って来た。車からアイス
ボックスと大きな生ハムの塊やソーセージを入れたカゴを抱えて戻っ
て来た。

アイスボックスには溢れんばかりの氷が有り、彼は生ハムの薄切りを
作ると、チーズに巻いて、つまみを沢山作ってくれた。
ソーセージはルーカスが早速焼き始めた。櫛に刺して、遠火でゆっく
りと焼いていた。

子供達も香ばしい焼ける香りで廻りで出来上がるのを待っていた。
皆が幸福そうな顔で、酒を飲む人や、話しに夢中になっている夫婦、
それぞれが今日の宴会を満喫している感じが私に伝わって来た。

その時、ヨハンスが乗ってきたジープにシエパードの犬が居るのに
気が付いた。耳がピント立ち精悍な感じの犬であった。
私が近寄ろうとすると、ヨハンスは『危ない~!』と注意して、
私の犬を紹介すると教えてくれた。
良く訓練された犬で彼の一声で全て行動していたので驚いた。

彼は犬を側に呼ぶと、先ず私の匂いを嗅がせると、私の手を犬の頭
にのせて、なでる様に言った。
私はゆっくりなでてやると、犬は私の手を舐めて、尻尾を振って
挨拶していた。私は嬉しくなり、今日買ったすじ肉を持って来ると
犬に食べる様に半分分けてやった。
犬はヨハンスの顔を見て、許可が出るとゆっくりと食べ出した。

美味しそうにに食べていたので、それをルーカスの犬も見ていた
から、ルーカスの犬も呼んで与えた、話しが酒の潤滑剤で、世話話
しから収穫の仕方まで、時間が経っのを忘れて話していた。

すると彼は水上げポンプが調子が悪いと話した。パッキングが割れ
て、圧力が掛らず水漏れすると困っていた。

私の得意とする修理で、いっも簡単に修理してしまう技術を持って
いたので、早速に私が点検、修理をしてやると申し込んだ。
ヨハンスは感謝の言葉を言って、『明日の暇な時間に見てくれ』と
私に言った。

私は心の中で『ビック!、チャンス~!』と感じた。パッキングな
ら、なめし皮を切って自分で作れる技能があるから簡単に治せると
思った。
明日が面白くなった。

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