2012年7月9日月曜日

死の天使を撃て!

第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』


(18)移住地で友と再会、

パラナ河を渡ると直ぐにエンカナシオンの街が見えて来た。
郊外の飛行場にアッと言う間に着陸して、滑走して駐機場に止りプロペラを
停止した。直ぐに近くの事務所から係官が出てきた。

マリオと知り合いの感じで挨拶していたが、ルーカスの犬の鑑札を見て直ぐ
に返してくれ、入国と言っても簡単で、セドラと言う身分証明を見せるだけ
であった。荷物検査も無かった。

マリオに係官が近ずいて来ると、「押収品の販売をしているが買わない
かーー!」と話しかけて来た。
ウイスキーとの事で直ぐに6本入りでジョニーウオ-カ-の黒が50ドル
と格安の値段で有ったが。現地の人ではとても払う事が出来ない金額であ
った。
私は1ケースを頼んだ。するとVWの小型バンが迎えに来た。荷物を全移
し替える間に酒を運んで来たので、金を払いバンに乗せて出発した。

飛行場から出て、しばらく走ると横道から耕運機がパタパタとリヤカー
を引いて出てきた。私は一瞬「どきりー」とした。それは南米に日本から
来る時に同船者だった吉田のおやじにそっくりだったからで、私は運転手
に停止を頼んで、大声で

『吉田のおっちゃん~!』と叫んでいた。バンの車が止り、私は車から
降りて走って近寄った。

まぎれも無い吉田のおやじであったので驚いてしまった。
マリオが下りて来て「お前の友人かーー?」と聞いた。私はおやじに抱
きついて『ワーワー!』と叫んでいた。

これからエンカルの町に出かける所であった。
おやじは直ぐに『俺の家に来い~!』とエンジンを止めて、私の荷物を
車から出せと言った。

私はマリオと行動をするより、ここで別れて別行動を選んだ。
ルーカスと犬も車から降りて来てマリオに用心の為にこれからは別行動
をすると言った。
移住地の奥には移住者の車が安全だと言った。マリオもその意味を理解
して、これからは別行動をする事になった。
その事が後で誰も怪しむ事無く行動が出来た要因となった。

吉田のおっちゃんはエンジンを掛けると、来た道を戻り、『ついてこ
い~!』と怒鳴って走り始めた。
直ぐわき道に入り、突き当たりが彼の家で、奥さんと子供達が飛び出し
て来た。マリオに頼んで荷物を全部下ろすと彼の連絡先を聞いた。

彼は名刺を出すと、『ここに居るからーー!』と教えてくれた。
しばらくして落ちついたら顔を出すと言った。マリオと陳氏が運転手
と共に、車でエンカルの町に消えて行った。

私は荷物を家に運び込むと、家族の一人一人と握手して、再会を祝った。
久しぶりの再会で嬉しくなり幸先が良いと感じた。
吉田のおやじは『移住地の奥では現金収入も無く、ここで養鶏と野菜
栽培をしている』と話してくれ、奥地の畑は現地人に任して油桐の木
を管理させていると話してくれた。

それにしても全ての話しも聞く事が出来て、これからの行動に非常に
役に立った。その夜はルーカスも驚く家族パーテイーを開いて、遅く
まで話しが尽きなかった。

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