2012年7月4日水曜日

私の還暦過去帳(264)

アメリカに住み始めて35年も過ぎました。

アメリカが豊かで、豊富な資源と各地に入り混じった人種的な形態とが
醸し出すアメリカ特有の階級制度と感じる貧富の差が、各所で感じられ
、また自分の目で見ることが出来ました。
今でも、かなりのホームレスと言う方々が、サンフランシスコの町では
溢れている地域が有ります。

老若男女を問いません、私が自分の目で見た限りでは中年過ぎが一番多
かったと思います。テレビの放送で聞いた事が有りますが、意外と多い
のはベトナム戦争などに参戦した復員軍人が多く含まれている事です。
私の町にもサンフランシスコへの通勤電車、バート駅に住み着いて居る
ホームレスです、近くにはショッピングセンターも有りますので、それ

と給食などのサービスも有るようですから、食べる事は心配ないと思い
ます。寒い冬に、氷点下に温度が下がる時は、避難所のセンターが開い
ていて、そこに収容して寒さから保護している様ですが、1年前ごろか
らしたら、当地では殆どホームレス者を見なくなりました。
貧困といっても中南米からのヒスパニック系の不法入国者の貧困状態は
我々が感じるほどの深刻さは無いと感じます。

メキシコのユカタン半島近くから来ていた若い男は、カタコトの英語で
したが、彼等の郷里では、田舎社会の貧困レベルからしたら、かなりの
裕福層に入ると話していました。家を2軒所有して、毎月300ドル以
上は送金していると話して、現在はコーヒーの農場を2ヘクタールほど
開いていると言っていましたが、アメリカでの生活レベルの違いと感じ
ます。
彼等の不法入国者が推定で1200万人とも言われる社会で、年金生活
者の貧困もアメリカ社会では多く見られます。アメリカ人は生活をエン
ジョイする事は上手ですが、貯金をして、引退までに老後の蓄えをする

方も沢山居ますが、またそれに反して、政府の老齢年金だけで生活して
いる方が沢山居ます。僅かな命金という預金を持って、ランチサービス
を受けて、日常生活では、1ドルショップという、日本で言えば・・・、
『100円ショップ店』です。
私もどんな物を売っているか覗いた事が有りますが、かなりの年寄りが、
僅かな買い物をしていました。ジガイモ1個、ニンジン2本、ソセージ
2本とか、必要最低限の買い物です、ポケットから計算機を出して集計
して、金額を確かめているようでした。

アメリカと言う豊かな国が、弱者切捨ての理論を持つ人が多い事は知ら
れて居ます。『彼等が努力しなかったから貧乏なのだ・・』と言う理論
を直接聞かされた時に、アメリカでは働いても、働いても、貧困層から
脱出できない階層が沢山住んでいます。一度、TVドキュメンタリーで見
た時に、かなりショックを受けました。
それは貧困のレンベルが違う事です。

私が46年前に南米のアルゼンチン奥地でインジオの部落で見た貧困は、
私が心に感じる貧困で、彼等にしたら貧困の意義が違うと感じました。
私が知り合いのインジオの母親に荷物を渡すように委託されて、部落を
訪ねて行くと、息子が働く農場の支配人と言う事で、歓迎してくれまし
た。僅かな金額と食料品でしたが、焚き火の前に座るように接待され、
焚き火の灰の中から出してきた卵を割って、木の葉に載せて、塩を添え
て食べるように勧めてくれました。

生活用品は僅かな食器と衣類が壁に掛けてあるだけの小屋でしたが、素
焼きの軒下に下げた水瓶からひんやりと冷えた水をグラスに入れて、飲
むように勧めてくれ、私が農場で生産するオレンジの実を持って来てい
ましたので、その中の熟れて美味しそうなオレンジを両手で揉んで、柔
らかくすると、それもオレンジの先を切ってその中の果樹のジュースを
吸う様にと、これも勧めてくれました。

何かと気を掛けてくれる母親の気持ちを感じて、凄く豊かな心を感じま
した。物資的な豊かさより、その時に心の豊かさが、より多く勝ると感
じた日でした。
彼等が感じる豊かさは、都会の金銭的な社会環境での豊かさより、時には
その金よりも砂糖や食料油、塩などを直接貰う方が喜んでいた様でした。
近所に店らしき物も無くて、貨幣価値は意味がなさなかったのです。

あの時に受けた私の心のショックは大きかったと思います。人間の幸せ
と家庭の幸福とは、社会で金持ちといわれる階層が、心豊かで全てが幸
福という環境に有るのか?43年近く前に、アフリカのモザンビークで
見た戦争難民の貧困状態が目に焼き付いています、現在でも世界の最貧
国というレベルです。
当時はもっと酷いポルトガル軍と民族解放戦線と内戦状態の時でした。
悲惨と言う言葉が、どの様な意味か理解させられた気持ちが致しました。

現代の格差、階級社会での勝ち組と負け組との段差を測る測定器は何かと、
つい・・・、考える事が有ります。

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム