2012年7月11日水曜日

死の天使を撃て!

第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』


(19) 友との飲み会、

何時の間にかテーブルの周りに人が増えて、沢山の昔の知り合いが並んで
いた。
今日はカンニヤ-と言う焼酎ではなく、初めは清酒で乾杯して、それから
はウイスキーを出してカチ割り氷で飲んでいた。

肴はそれぞれ沢山の自家製のサラミやソーセージを焼いたり、生ハムを冷
やして刺身の様にしたり、コンニヤクの刺身を作って持って来ていた。
ナマズの干物や、ぶつ切りのから揚げなど、テーブルに置き場が無いほど
沢山有った。

ルーカスも賑やかな宴会に驚いて見ていたが、皆と仲良く飲んでいた。
宴会も終りになり、お土産を皆に配り、大切に日本から来た醤油を抱えて、
『これは刺身醤油にする』と話して帰って行った。

皆は必ず訪ねて来るようにと、くどい様に言って帰って行ったが、娯楽の
無い世界ではこの様な集まりがどんなにか心豊かな連帯の輪を作っていた。
吉田のおやじの子供達も大きく育って長男は17歳になっていた。

次男も15歳になり、まだ赤子の様だった一番下の、女の子もシャツの胸
がふくらみ、乳房が目立つ感じで、時間が過ぎて行くのが実感として目の
前に有った。

その夜はひさしぶりに、日本式の風呂に入り、蚊帳を釣った部屋で寝た。
板張りの床に布団をひいて、外の虫の鳴声を子守り唄にルーカスと枕を
並べて寝入っていた。

翌朝、目が覚めるとすでにルーカスは起きて、何か仕事を手伝って居る様
だった。
これから朝食を済ませたら、吉田のおやじさんと移住地の一番奥の佐藤さ
んが居た所を隣りのドイツ人が買い取って、そこに誰か住んで居ると言う
話しを聞いたので、確かめ様と思った。

佐藤氏はアルゼンチンに入居地を売り払い、転移住して行った。
直ぐ側は吉田のおやじさんの入居地で、現在は油桐のツングーと言う木を
植林して、少しトマトを植えて、それを現地人に管理させていた。

週に2回は訪ねていると話してくれた。長男がエンカルの町に出るから朝食
が済んだら案内すると言ってくれた。

私は移住地の奥に行く前に、マリオと話しておきたいと感じて、先に長男と
町に行く事にした。
そこは意外な場所で、これからの仕事に役立つ物が手に入った。

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