2012年8月16日木曜日

死の天使を撃て!



第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』


(36)応戦で火吹くサブ・マシンガン。

スタスタと歩いて行ったルーカスが、立ち止まり私を呼んだ。
犬が用心して、尻尾をピント立てて、何かポイントして用心していた。

彼は用心深く近寄り木の枝を切ると、それを草むらに投げた。
『バーン!』と言う音がして、竹が弓なりとなって弾いた。

罠がしかけて有った様だ、彼は山刀で竹を切ると私に見せてくれた。
鋭い刺が先に仕込んであった。マリオがやられたのと同じ感じの仕掛であ
った。

そして近所の足跡を調べて、『この先を三人の人間が歩いて行った・・』
と教えてくれた。

『靴を履いている男が一人、現地人が使う地下足袋の様なアッパラガッタ
と言う作業靴を履いている男が二名、ここを通って行った様だ。』と言うと、

『マリオはここに誘い込まれて殺される所だった様だ、彼等は急いで罠を
仕掛けていたから、先に付ける竹の鋭い刺も一本しか付けてはいない、
本当は三本は付けるから警告の脅しとも取れるーー』と言うと、

『この先は俺だけが行くから、マリオを連れて戻ってくれ・・』と言って
歩き出した。

私は彼のサブマシーンガンを手に、肩を貸してゆっくりと来た道を戻って
行った。
時々、苦痛に顔を歪めながらマリオは歩いていた。

その時トランシーバーが鳴り、健ちゃんの声で連絡して来たので、私は直
ぐに戻って来るように話した。
簡単に事情を説明して、緊急の事態となっている事を知らせた。

私は背中に背負ったライフルを持ち、腰のホルスターには拳銃を差して、
ベルトには山刀を鞘に入れて持ち、片手にサブマシーンガンを持って、
マリオを支えて歩くのは骨がおれた。

マリオは辛そうに顔をしかめていたので、私は木の根っ子に座らせて、
草むらに繋いで有った馬を引いて来た。馬はおとなしく私に引かれて来た。

マリオを鞍に座らせて、鞍の横に彼の銃をぶら下げた。

やれやれ・・で、たずなを引いて川沿いの小道を歩いて車が入る所まで戻
ろうとしていた時、かすかにジャングルの木陰の下草がゆれた感じがした。
誰か居ると感じた。

私はライフルを撃った一人が、隠れて狙撃するのではないかと一瞬、
ドキリと胸騒ぎがした。
ルーカスの犬も居ないし、私はとっさにマリオのサブマシーンガンを鞍か
ら取ると、安全装置を外すと、いきなり藪にめがけて撃った。 
『トトーーー!』と

軽い発射音が響いて、弾をばら撒くだけの銃だが、ジャングルでは絶大な
効果が有った。
弾倉を撃ち終わってマリオのベルトから予備のマガジンを取ると、もう
一度短く撃って、驚く馬をあやして、マリオを乗せた馬を連れて走って逃
げた。

途中で振り返り、短く再度掃射した。誰も追っては来なかった。
やれやれ・・と心の安堵感がして来た。

車が見えて来た。マリオが苦痛の顔をしかめて馬から下りると、藪に突っ
込んだ車から、4個の弾倉のマガジンを居れた予備ケースを出して来た。

フロントガラスに穴が開いて、陳氏が撃たれた事が分った。
車の陰に隠れて、健ちゃんの車が帰ってくるのを待っていたが遠くで銃声
がして、隠れている車に『ポーン~!』と言う音を響かせて、弾が命中す
る音を聞いた。

マリオと二人で伏せて隠くれたが、マリオにサブマシーンガンを渡して、
私は背中のライフルを構えた。ブロウニング、ライフルがもっと信頼性が
有った。

トランシーバで現場が危険な事を健ちゃんに教えた。

また撃ってきた。弾がはじける様に車の鉄板を突き抜けた。
危険なことになって来たが、私は物入れの中からスコープを出してライ
フルに装着し、調節すると狙って撃ち返した。

一発、二発と撃ちながら相手の動きを止めた。
シーンとした時間がただよっていた。

そこに遠くでエンジンの音が響いて来た。帰って来た様だと思った。

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