2012年8月20日月曜日

死の天使を撃て!

  
第2話、『ブエノスに遠い国から来た狼達』

(38) ヨハンスの父親発見、

健ちゃんの運転する車が到着して、彼が飛び出して来た。

健ちゃんは現地人が足を撃ちぬかれて、血を流しているのを見ると、すぐ
さま車から緊急医薬品の入って小さなバックを持って来たが、マリオの肩
の傷を見てもっと驚いていた。
まだ竹の刺が残っていたからであった。

健ちゃんと私は現地人の足の血止めをすると、両脇を抱えて、車の後部の
貨物スペースに乗せた。
マリオは後部座席に横にさせて乗せ、最後に後手に縛った現地人を同じく
後部貨物部分に座らせた。

かなりの時間が掛り、私が助手席に座り、車を健ちゃんがスタートさせ様
としている時に、犬が猛烈な早さで走ってくるのが分った。

ルーカスの犬である、驚いて見ていると、車の側まで来ると、首輪に何か
紙切れが挿んで有る事が分った。

降りてその紙を見ると、走り書きで・・、
『ヨハンスの父親が倒れている、狭心症の発作かもしれない、見捨てられ
ないので助けに来てくれ、私はこのまま馬で追跡する』と書いてあった。

健ちゃんに頼み、また診療所まで運んでもらう事にした。

私はマリオのサブマシーンガンはフォードのトランクに仕舞った。
ルーカスの犬が私を見て待っていた。
健ちゃんは一人で運転して行った。

私は犬と共に、ライフルを背中に早足で歩き出した。
するとほんの少し歩いた所で、馬が草を食べていた。
まだ鞍も付いている状態であったので、私は馬をおどろかさない様に近
ずき、たずなを握った。

馬に跨るとかなりの早さで追跡を始めた。近道のジャングルの道ではな
く、小川沿いの小道で有った。
ルーカスの犬は前に立って早足に案内してくれた。

しばらく行ってから、ジャングルからの近道が、かなり近い現場でルー
カスの犬が立ち止まり、草むらを『ここだよー!』と言う感じで、私に
教えてくれた。

草むらにヨハンスの父親が横たわって微かにあえいでいた。

私は耳もとに口を付けて、『ニトロの薬は飲んだかと聞いた。』彼はう
なずいて、首からさげたカプセル入れを見せててくれ、もう1錠を舌の下
に入れてくれと頼んで来た。
私は錠剤を彼の口に入れ、シャツを緩めた。ルーカスの犬も心配そうに
見ていた。

私はトランシーバーのスイッチを入れ交信して健ちゃんを呼んだ、直ぐ
に応答があり、マリオの手術の準備をしていると返事が帰って来た。

私は短くヨハンスの父親が狭心症でパラナ河に行く途中で倒れているか
ら担架を準備して迎えに来てくれと話した。
彼は直ぐに了解して、病院の担架を借りて直ぐにそちらに戻ると言って
くれた。

とても馬に乗せて戻る事は出来ないと感じて、楽な姿勢にして寝かせて
いた。
私はおそらく彼が私達が狙う標的を連れてここまで来て、発作を起した
と感じた。

そして標的を現地人が守って最後のパラナ河の目的地まで連れて逃げて
いると感じ、何かヨハンスの父親の執念を感じた。

微かに飛行機のプロペラの回転音が聞えて来た。

かなり離れた所からで、パラナ河の大河の流れのどことなく湿った感じ
に乗って音がして来た。
私はルーカスがどこまで接近したか不安になった。

ルーカスの犬が耳を立てて、音を聞いていた。

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