2012年6月14日木曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(20)



朝早く、オームの群れの鳴声で目が覚めた。
沢山のオームが河岸に集まり、水を飲みに来ていた。集団で群れ
になって住んで居るオーム達の数にも驚いていた。
『起床~!』と軍曹が怒鳴る声が響くと、昨日と同じ様にテント
が騒がしくなり、若い兵士達が飛び起きて、一斉に行動を開始

していた。きびきびした動作でアッと言う間にテントはかたずけられ
朝食の用意が始まり、私達は河岸で顔を洗い、身体を拭いて汗臭
い下着を交換して、一日の用意をしていた。
ラバ達が朝の飼料を貰い、トウモロコシの実をガリガリと噛んでいる
音が響いていた。今日でこの行軍も終りで、追跡してゲリラの結末

も自分の目で確認して、納得して今日を迎えた事に、少し心が
穏やかになっていた。我々のグループは何も問題も無く、ロバが
一頭死んだけれど、そんな事は何も心配する事は無かった。
ベアトリスは出発の時、威勢が良かったが、父親も追いかけて来て
激しい銃撃戦を見て、今はおとなしくなっていた。

今日は私が持っていたインスタント、コーヒーを、瓶に有った全部
を薬缶に入れて、コーヒーとした。昨日作ったパンが配られ、パン
に肉の残りを挟んで、生の玉ねぎを切って入れて皆が食べていた。
コーヒーに缶ミルクをたっぷりと入れて飲んでいたが、こんな所
で飲むコーヒーとしては高級品であった。

若い兵士達は食後の武器の手入れが済むと、ラバを連れて来て
荷物を載せていた。兵士達が整列して軍曹の号令にジョアン大尉
が敬礼で応え、行軍の開始が告げられた。隊列が動き出すと、その
前に斥候の偵察がライフルを持って早足で消えて行った。
小休止を挟んで、黙々と行軍が進んで行った。

私達も安心して何も警戒心も無く歩いていた。軍の戦闘小部隊と
歩く事はやはり心強い感じで、ゲリラなどは何も心配無く付いて
歩いていた。日が高く輝き、お昼の大休止となり、河原の木陰
に皆が腰を下ろして、ラバから荷物が降ろされ、お昼の炊飯が
始まり、その間兵士達が魚釣りを始めて騒いでいた。

かなり流れが速い河であったが、鯉に似た魚が釣り上げられ
お昼のランチにスープにされてしまった。缶詰のフルーツが
出され、桃の甘い切り身がとろける様で、疲れた身体に元気が
湧いてきた。ラバに積んでいた予定の食料も殆ど終りになり、
作戦の終了が今日で終りになるので、丁度良い行程であった。

日が少し蔭げて隊列が動き出した。人間もラバも足取りが軽か
った。少し歩いて、兵士達は駐屯地に河を渡って近道して
帰る事になり、ラバの隊列と護衛の兵士が普通の道を歩いて
帰隊する事になった。小休止を挟んで、渡河が訓練として行なわ
れ、殆どの兵士達がロープを張られた河をライフルを肩に荷物
を背中に背負って渡って行った。我々は手を振って送りだし、

別れを惜しんだ。軍曹に先導された若い兵士達がジャングルに
消えて行った。我々はジョアン大尉のもとに、ラバの隊列と普通の
小道を歩き出していた。そろそろ農場の畑が遠くに見える様に
なって来た。これから我々と、ジョアン大尉の部隊と、ルーカスと
ルイスの3組が別々に別れる道が近くなって来た。追跡の終りが
近付いて来たのである。
 では次回をお楽しみに、

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