2012年6月10日日曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(18)

単調な行軍であった。
ラバが時々いななくだけで、皆は黙って歩いていた。
時々、鳥が朝の冷たさの残るジャングルに鳴声を響かせていた。
オウムの群れが声高く鳴きながら、河の縁に群れて水を飲んでい
たが、後はシーンと静かなジャングルの木々の緑が気持ち良かった。

時々、斥候が報告してくる、ハンドトーキーの声が響いていた。
若い兵士達は隊列を乱す事無く、黙々と歩いていたが、短い
小休止にはどっかりと座り込み、水筒の水を飲み回して、ラバ
にも水を与えていた。河の近くなので、あちこちに水場が有り
綺麗な水が流れていた。

ルーカスが河の岸辺の肥沃な土地のほんの僅かな場所に、植え
付けられている、マンジーカの芋を掘っていたが、昼のランチ
に使うと言っていた。所有者は誰のでもなく掘っただけ、また
茎を切って植えつけると、そこからまた芋が伸びて誰か欲しい
人が利用すると言う、原始共済のシステムであった。
河岸にはかなり多く、その様な畑があると言っていた。

掘り取った芋をラバの背中に乗せて歩き出した。その時、犬が
立ち止まり、聞き耳を立てて様子をうかがっていた瞬間、パーン
と銃声が響き、一瞬緊張が行軍している隊列に走った。
もう一発、パーンと響いて静かになった。隊列は止り、ライフル
を構えた兵士達が散開して、機関銃がラバから降ろされると、

アッと言う間に組みたてられ、百発入りの弾薬箱を両手にした
兵士が大木の陰に隠れ、軍曹が自動小銃を構えて、四名の精悍
な若い兵士を連れると、ジャングルに走り込んで行った。
私達は岩陰に隠れていた。指揮官のジョアン大尉が手で『動くな、
隠れていろーー』と合図して、前方を双眼鏡で覗いていた。

銃声はかなり近い場所で有ったので、緊張が兵士達に張り詰め、
ライフルを構えて、中には着剣している兵士も居た。
マチーエテと呼ばれる山刀を鞘から抜いて、側に置いている兵士
もいて、ジャングル戦の接近戦を想定している感じであった。
ラバ達は後方に移動させられ、その荷物を護衛する兵士もラバ
と共に、下がって行った。
 では次回をお楽しみに、

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