『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』
ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(18)
単調な行軍であった。
ラバが時々いななくだけで、皆は黙って歩いていた。
時々、鳥が朝の冷たさの残るジャングルに鳴声を響かせていた。
オウムの群れが声高く鳴きながら、河の縁に群れて水を飲んでい
たが、後はシーンと静かなジャングルの木々の緑が気持ち良かった。
時々、斥候が報告してくる、ハンドトーキーの声が響いていた。
若い兵士達は隊列を乱す事無く、黙々と歩いていたが、短い
小休止にはどっかりと座り込み、水筒の水を飲み回して、ラバ
にも水を与えていた。河の近くなので、あちこちに水場が有り
綺麗な水が流れていた。
ルーカスが河の岸辺の肥沃な土地のほんの僅かな場所に、植え
付けられている、マンジーカの芋を掘っていたが、昼のランチ
に使うと言っていた。所有者は誰のでもなく掘っただけ、また
茎を切って植えつけると、そこからまた芋が伸びて誰か欲しい
人が利用すると言う、原始共済のシステムであった。
河岸にはかなり多く、その様な畑があると言っていた。
掘り取った芋をラバの背中に乗せて歩き出した。その時、犬が
立ち止まり、聞き耳を立てて様子をうかがっていた瞬間、パーン
と銃声が響き、一瞬緊張が行軍している隊列に走った。
もう一発、パーンと響いて静かになった。隊列は止り、ライフル
を構えた兵士達が散開して、機関銃がラバから降ろされると、
アッと言う間に組みたてられ、百発入りの弾薬箱を両手にした
兵士が大木の陰に隠れ、軍曹が自動小銃を構えて、四名の精悍
な若い兵士を連れると、ジャングルに走り込んで行った。
私達は岩陰に隠れていた。指揮官のジョアン大尉が手で『動くな、
隠れていろーー』と合図して、前方を双眼鏡で覗いていた。
銃声はかなり近い場所で有ったので、緊張が兵士達に張り詰め、
ライフルを構えて、中には着剣している兵士も居た。
マチーエテと呼ばれる山刀を鞘から抜いて、側に置いている兵士
もいて、ジャングル戦の接近戦を想定している感じであった。
ラバ達は後方に移動させられ、その荷物を護衛する兵士もラバ
と共に、下がって行った。
では次回をお楽しみに、
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