2012年5月30日水曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(14)

しばらくして、静けさを破る様に「チーーーーー!」と声高く
鳴き声が聞こえて来た。集合の合図であった。私はトランシーバ
ラジオでベアトリスの父親を呼んだ。直ぐに返事が有り、
「用心して道を降りてくる様にーー」と指示された。
ルーカスが居る現場に行くと、そこにはルイスとマテウスが来て
いた。
襲撃者は右肩を負傷して、犬に左手を噛まれて、額にゴムのパチ
ンコの粘土弾が命中した無残な痕があった。血が流れ、片目の上
に大きな血豆で、完全に垂れてふさがっていた。おそらく目に
命中していたら完全失明となっていたと感じた。襲撃者は戦意も
無くして、ただ座り込んで命乞いしていた。

ルイスが手際良く応急処置をして、水を飲ませた。3匹の犬に囲
まれ、少しでも動くと犬が勢い良く襲う様子を見せ、青ざめて
座っていた。マテウスが側に座り、「お前の仲間は何人か~!」
聞いた。彼は観念したのか、素直に「あと二人居る。」と言った。
「一人は負傷して、あと一人はその負傷者を介護して待っている」

と話すと、「助けてくれーー!」と哀願した。「最初の一連射を
受けた時に肩に、岩に当たった弾が跳弾となり負傷して、ラジオ
も弾の直撃で粉砕されて、身一つで逃げてこの有り様だ」と言う
と、「同じカービン.ライフルの発射音で、仲間は私が撃ったと感
じて、襲撃が成功したと思って待っていると思う-!」と言うと
水場の方角を見ていた。ボリビアからの越境襲撃者は言葉少なく、

「貴方達はゲリラではないのですね!大きな間違いをしてしまった。」

その時、ラジオが呼び出しを掛け、ジョアン大尉の声で、
「先発の斥候が射撃音を聞い報告してきたが、全員大丈夫か」と
聞いてきた。全てを報告して了解してくれ、予定どうりに広場で
落ち合う事が決まった。
ロバを連れて来て、女ゲリラとボリビアからの越境襲撃者を乗せ
ゆっくりとジャングルを歩き出した。ルーカスが歩きながら私に
戦利品のジャングル.カービンと、ブロウニングの自動拳銃を見せ
てくれた。そして私のカービンと同じ弾倉なので、弾倉を3個ば
かり私に袋から出してくれた。水場を避けて広場に出るとそこ

にはラバの隊列を連れて、国境警備隊が集合していた。
ジョアン大尉が直ぐに迎えに出て来て、女ゲリラと越境襲撃者を
受け取った。木陰にシートを広げ、看護兵を呼んで治療をさせ、
尋問を始めたが、それを見ながら我々は荷物を降ろして、水を
ロバに与え、我々も休憩とした。一息つきかけた時、突然銃声
がした。
一斉に兵隊が伏せた。水場の奥のジャングルからでライフルの
発射音であった。ジョアン大尉は直ぐに軍曹を呼ぶと、小型の
迫撃砲を2門、ロバから降ろすと兵に射撃準備をさせた。
それから小型分隊機関銃を同じく2丁組みたてて、射撃準備を
させていたが、大尉はせっかく持ってきた弾薬を持って帰るのも

重荷なのでここで訓練代わりに攻撃すると話すと、二手に分か
れて兵を進め、先ず迫撃砲を2門距離を測って射撃開始した。
小型ながら「ポン~!」と発射音を残すと、直ぐ水場の近くの
潅木の茂みが「どか~ん」と土煙が上がり、ギョッとするほど
の音がこだました。それと同時に小型機関銃が2ヶ所から十字

砲火を浴びせる様に、曵光弾の尾を光らせて連射していた。
私は軍隊の兵役経験も無いので、ドキドキして見ていた。
側で、マテウスが望遠鏡で覗いて、時々、大尉と何か話してい
たが、機関銃と迫撃砲の音が途切れた時、空にヘリコプターの
音がして来た。
 では次回をお楽しみに、

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