2012年5月26日土曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(12)

見晴しの良い空き地は昔、材木の集積所の跡で、現在は荒地と
なっていた。そこで積み上げられた材木は河の増水期に筏にして
流して居た様だ。河の側で、直ぐ近くに洪水の危険もない水場
が有り、森林伐採キャンプとしては最適な環境で有ったが、
現在は使用されてはいない、重要な鉄木や大木が切り倒されて

今では無人の水場となっていたが、時々ハンターが狩猟の期間
小屋を作り住んで居た。水場の伐採キャンプを中心にして、
幾つもの小道がジャンブルにあちこちと伸びて、ボリビア国境
までそれが続いていた。我々はゲリラとボリビアからの進入者
との交戦で、水場が使えないので、とりあえずそこを迂回して

下の空き地に行き、女ゲリラを引き渡す予定でいた。
ゲリラに襲われた友人は命を取り留め、これ以上の復讐での追
跡は無用となった。しかし乗りかかった船から簡単には降りる
事は出来なかった。きちんとケジメを付けてから農場に帰る予定
でいた。我々は下の空き地までの時間を計算して、少し休んで
軽くランチをとる事になった。

藪の中に全員が腰を下ろして、石油コンロでお茶を沸かしてハム
を切り、生の玉ねぎを薄く切って、ビスケットに挟んで食べた。
缶詰のフルーツを切り、皿に分けて皆にまわしたが、残った甘い
シロップは女ゲリラに元気付けに飲ませた。
皆が見ている前で、恥ずかしそうに自分の服装を気に掛けていた

がベアトリスの勧めで、飲み終えると下着だけを皆の目から離れ
た所で、ベアトリスから貰った下着に着替えていた。
太腿の出血も止まり、血止めのひもを解き、安心して座り込み、
足を伸ばして休んでいた。安堵の表情で私達の質問に答えていた
が、どこにでも居そうな現地人の若い女で、ポツポツと話して

くれた。今回の襲撃には参加してはいなく、水場の近くで荷物
を監視して留守をしていたと話してくれた。ゲリラが水場に帰っ
て来た時にボリビアからの越境追跡者達から襲撃されて銃撃戦
となり、不意を突かれて待ち伏せされた事で、5名がアッと言
まに倒されて、二人はどこかに消えてしまったので、必死に

逃げて来た所を捕まったと話してくれた。まだどこかに彼等が
潜んで居る様だと言って、用心した方が良さそうだと注意して
くれた。食事が終り荷物をかたずけてラバに積み、下の合流地点
を目指して歩き始めたが、女ゲリラはロバに乗せてやった。

一番先に、ルーカスとベアトリスの父親が歩き、その後ろを
ロバが二頭ついて行き、ルイスがゲリラの女の横を付いて歩いて
いた。一番後方を私と、ベアトリスが犬を連れて歩いていた。
突然ベアトリスが藪の生い茂った所で、「先に行っていて~!」

と叫ぶと、藪の中に駆け込んだ。皆は笑いながら「お先に~!」
と声を掛けて歩いていった。犬が付いて行くのも追い払われ、
私は立ち止まって待っていた。犬が私の顔を見上げて、まさに
「だいぶあわてて・・いたが間にあったか~!」と言う様な
顔で私を見ていた。

その時、突然・・!犬が鼻を上げて匂いを捜し、耳をそば立てて
音を探していた。下から風が上がってきて、風下で有ったので、
どこからかの異変を嗅ぎつけたと思った。その時、下に降りる
小道を歩いている3人とラバが二頭、それに乗っている女が

チラリと80mぐらい下の藪の陰に見えたが、その後ろの途中
の岩陰から、迷彩服の男がジャングルカービンを構えて現れて
岩陰に陣取り、ババナ弾倉を3個も取り出して横に置き、私が
見ているのも知らないで、前を歩いている全員が小道の直線に
なる所まで来るのを待って、撃ちまくるのだと直ぐに感じた。

私は風向きの死角を巧みに付いて、襲った男をプロの襲撃者と
感じた。私達が用便の為に遅れなかったならば、全員が命を
落としていたかもしれないと思った。犬が吼えない様にして、
カービンをフルの連射に切り替えて、男を狙って撃った。

一連射で男の潜んでいた岩陰に弾が飛び散るのが見えた。後は
30発の弾が無くなるまで撃ちまくった。男が肩を押えて銃を
放り出して、転げる様に藪に潜ろうとしていた。私の弾が切れた
事を感じてカービンを取りに戻ろうとした瞬間、横でタンタン・・
と小型ライフルの速射する音が響いた。

ベアトリスが撃ちまくっていた。私はあわてて弾倉を取り替えた。
直ぐに岩陰を見たが、そこには誰も居なかった。下の小道にロバ
がポツンと二匹、立ち止まっていた。人影が一瞬で消えてしまっ
ていた。岩陰にライフルが転がり、弾倉が3個岩の上に置いた
ままで、全てが静まり返っていた。
 ではまた次回をお楽しみに、

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