2012年5月17日木曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(9)

我々は、無言で銃声を聞いていた。時折、トーーーーと短く
自動小銃らしき銃声も混じり、2ヶ所の異なる場所から響いて
いたが、止むかと思っていたら、ポーンと小銃の銃声が単発の
響きで、山にこだましていた。

どのくらい時間が過ぎたか覚えてはいなかったが、犬達が聞き耳
を立てて、人の気配を感じ、今来た道を見ていた。
すると、ベアトリスが短く口笛を鳴らした。直ぐに答える様に
口笛が帰って来た。ベアトリスが「父が追いついた~!」と言う
と道に飛び出して行った。

ロバを連れた初老の男性が元気な足取りで近寄ってきた。
ルーカスとルイスがパット姿勢を正すと、「隊長殿お元気ですか」
と言って握手していた。彼は長い間国境警備隊に勤務して、現在は
引退して、チャコ地方で牧場を開いていると言う人であった。

兄弟がサルタ州のこの地方で野菜栽培もしているので、良く行き
来して、娘も当地で婚約者ができ、結婚するばかりの前の惨事で
あったが、我々の問いに「無事に一命は取りとめた」と教えて
くれた。

仲良かった友達の命が助かった事に、ホット心の中で安堵の気持
ちが湧いてきた。するとまた、大きな連続した銃声が起った。
マテウスと呼ばれたベアトリスの父親は直ぐに皆を前に作戦を
練った。彼の予測は正確な情報分析でかなりの高度のジャングル
訓練を受けた戦闘部隊を指揮していた経験が、我々の思いもつか
ない事を予測して、対応していた。

彼は地面に図を書いて、木の枝で説明してくれたが、このまま
高見の見物をする事で有った。

「危ない所には近ずかない事が一番だーーー!」と言うと彼は
「おそらくボリビアから密かにゲリラを阻止する為に進入して
 来たアメリカの軍事顧問に訓練された特殊部隊の数人がゲリラ
 を待ち伏せして、殲滅している可能性がある、」と話すと、
「我々民間人は無理な事などせず、一時の感情で事はおこしては
 ダメだーー!」と言って、下の水場の様子を伺っていた。

望遠鏡をカバンから出すと、銃声が時々起る場所を丹念に舐める
様に見ていた。彼はルーカスを呼ぶと、スコープを覗かせて
何か話していた。すると、ルーカスはライフルにカバンのケース
から取り出した狙撃スコープを取りつけた。
スコープを見ながら微調整をして、弾を入れ替えて自分が手詰め
した狩猟弾から、レミントンの市販マグナム弾に入れ替えた。

カバンから狩猟で使うカモフラジューの網を頭から被りライフル
にも薄い網を巻きつけてしまった。おそらく藪の中に身を潜めた
ら絶対に余ほど側に寄るか、犬にでも発見されなければ、見つけ
る事は無理だと思った。軍隊時代狙撃者の訓練を受けて、
インジオの身のこなしと、毎日、生計での狩猟生活は身体に染み込
んだ行動として、彼が森の主として力を秘め、活動出来る天分の
才能があると思った。

それに彼の犬は訓練と、実践の狩猟の生活の中で覚えた犬の感覚
は、どの狩猟犬にも負けることは無かった。

ルーカスとルイスが何か話して、ベアトリスの父親マテウスと
何か打ち合せていたが、彼は自分の犬を呼ぶと、口に軽く皮ひも
で縛り、吼えることが出来ない様にして、首輪に縄をつけると
それを手に歩き出した。
また下で銃声が起り、犬が耳を逆立てて音を聞いていた。
 では次回をお楽しみに、

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム