2012年5月9日水曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(6)

その日かなり薄暗くなって、キャンプすることにした。
そこはルーカスがいつも利用している場所で、尾根の頂上で
見晴しが良くて、風も防げる石が有り、岩場のくぼみに寝床を
作る事は簡単で、テントも要らず炊事をする場所もちゃんと
有った。沢山の岩場を利用して宿泊していった人が一晩の寝場所
として、少しずつ過ごしやすい場所にしていった感じがする。

ロバの荷物を降ろして、トウモロコシとアルファルファ-の乾燥
の塊を少し与えて、水を少し飲ませた。それが済んで一休みして
いる時、犬達が緊張して、耳を立て、鼻を宙に上げてクンクンと
匂いを捜している感じで、少し緊張してライフルを手元に引き寄
せ、安全装置を外して射撃が出来るようにしていた。
ルーカスもルイスも緊張しているのが分かる、ベアトリスは無心

に炊事の支度をして気がつかない。石油コンロに鍋をかけて
煮込みのスープを作っている、乾肉のダシで美味しい匂いが
していた。犬達が急に尻尾を振り出して、ボリビア側の小道を
見ている。ルーカスがピーと口笛を独特のリズムで鳴らした。
すると、答える様に今度は違うリズムで答えて来た。
ルーカスが「カウアンが来ているーー、狩猟の帰りかも~!」
と言うと、ライフルを降ろして安全装置を掛けた。

5分ほどして、カウアンが見えて来た。犬達が大喜びでクンクン
とお互いに尻尾を振りながら、カウアンの犬を歓迎して迎えて
いる。ベアトリスも気がついて、食事の支度を止めて迎えた。
「お客が来たようですね~!」と言って、煮込みにジャガイモと
玉ねぎを入れ足していた。彼は赤トカゲの皮を専門で狩猟して
いるハンターで有った。当地の取引価格でも一番高い値段がする

皮で、日本などで高級ハンドバックなどでは10万円もすると
言うバックになる。カウアンは荷物を肩から下ろすと、どっかと
座り込んだ。ルーカスがマテ茶を差し出すと喜んで飲み、それから
話し始めた。
「現在、ボリビア国境は警備が激しくて越えられなかった。」
「それから特殊部隊らしい人間がゲリラを探索しているから気を
 付けろーー!」 
「一度、その男達に捕まり尋問されたが、幸いに狩猟ライセンス 
 を持っていたので、釈放された」と言った。

そこまで話すと、「鹿を撃って沢山乾肉にしたからーー」と
荷物の中から、ごっそりと出して来た。それから自分の水を
隠していると話して、ルーカスを連れて少し離れた岩場の陰に
連れて行き、軽く土を掘ると、20リッタのポリタンクが満タン
に水を入れて出てきた。
彼は「このタンクは飲料殺菌クロリンのタブレットを入れてい
 るので水が腐らない」と話して、
「雨の時期が終ったばかりの時、まだ近くで水が有った時期に
 埋めておいた」と教えてくれた。

ルーカスも感心して見ていたが、「今では近所はどこにも水の一滴
 も無い、有り難い事だ、我々も見習って埋めておこう」と話して
食事の時間になった。カウアンがカンニヤーと言う砂糖きびで
造った焼酎を出して来た。コップに少しずつ注ぐと乾杯して皆の
健康とこれからの無事を祈った。煮込みスープと火であぶって
柔らかくなった乾肉とパンで、近況を話し合いながら食事とした。

犬達は3匹とも、貰った乾肉を美味そうにかじっている。
ロバも座り込んで我々の食事を眺めているが、長い耳が時々辺り
の音を聞いている様だ、和やかな一時で、明日のゲリラとの
遭遇をまったく感じさせなかった。しかしそれは嵐の前の静けさ
で、誰も明日の朝、凄惨な戦いが起るとは感じなかった。
 では次回をお楽しみ、

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