2012年5月1日火曜日

私の還暦過去帳(238)



私が南米に移住した47年前に、アルゼンチンも北に上り、ボリ
ビア国境近くの南回帰線より、150kmは中に入った場所でも
冬場はかなりの霜が降りる時が有りました。

北に上り、ボリビア国境地帯では温室などの設備が不要でトマト
などの生産を大規模に行っていました。私が働いていた農場は主
にトマトとピーマンを生産していました。

それと少し一時間ばかり離れた所に、オレンジとバナナの栽培農
場を開いていました。オレンジは10ヘクタールぐらいでしたが、
収穫時にはかなり忙しくて、泊り込みでの作業でした。
しかし、南米でも南回帰線の内側からかなり入った場所でも霜の
被害が出る事が有りました。一番簡単に被害が出るのがバナナで
した。

真っ赤に枯れた葉が頭を下げて、延々と連なっているのを見ると
少し可哀想に感じました。オレンジは霜が降りたり、凍ってしまう
と、実の中がパサパサとして、甘みも無く商品価値が半減します。

大規模な投資をして開いた蔬菜農場で、トマトの広大な畑が黄色く
葉が焼けて異臭がしている所を見た事が有ります。トマトはドロリ
と溶けた様に崩れて哀れな立ち姿でした。
私が居た農場でも、気温がドンドンと下がって、トマト畑の葉が白
く霜を被り、触るとシャリー!と微かに音が出ました。

隣の畑では畑でタイヤを燃やしたり、重油を缶に入れて燃やしたり、
かなりの対策をしていました。しかし農場のオーナーは騒がず、あ
せらず『無駄だよー!』と一言いってコーヒーを入れて飲んでいま
した。

彼は気温が下がり出すと、畑に灌漑用水を引き、かなりの水をトマ
ト畑に潅水していました。ただそれだけでした。
後は『運を天に任して・・・、』のんびりとしている様でしたが、
心の中は大変な事と思いました。

霜が深く降りて、朝になり急に晴れた空に気温がドンドンと上がり、
日中はかなりの気温となれば、直ぐにトマトの葉が溶ける様になっ
てしまいました。

しかし、朝の寒さで、河から霧が沸き起こり、トマト畑がすっぽり
と被さる様になり、ゆっくりと気温が上がれば、かなりの被害が防
止出来ました。
霧が出てくると、トマトの葉がしっとりと濡れて、水滴がポタポタ
落ちて霜に凍って居るトマトと葉がかなり助かり、またトマトの被
害も売り物になる実がかなり残ります。今でも思い出しますが、私

が居た農場の対岸の畑で大きな火の手が上がり、黒煙のタイヤを燃
やす煙がまるで映画の戦場の様な場面を見ました。外の外気の冷た
さに震え上がり、ワインの酒を飲んで体の中から暖めていました。

先ほどキーボードを叩く手を休めて外に出てみたら、零度のスレス
レの所で針が止まっていました。空は満点の星空で、澄んだ空に星
がきらめいていました。46年以上も昔に見た夜空と同じ感じで、
ピーンー!と張り詰めた冷気が、昔の思い出の場面をフラッシュす
る様に頭を横切りました。

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