2012年5月23日水曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(11)

下の藪から悲鳴が聞えたが、そのあとは「シーン」と静まり
返っていた。銃声も途絶えて気持ち悪いくらい静かであった。
ふと気がついたら、喉がカラカラに乾いていた。
水筒のフタを開けて、ごくごくと冷たい水を飲んだ。

その時、下からルーカスがゆっくりと歩いて来た。そして手招き
して私らを呼んだ。「ゲリラの女を掴まえた」そう言うと、彼も
水を飲んでいた。彼が水を飲み終えると現場に付いて行った。
汗で汚れたシャツを着ていたが、気絶しているかの様に動かな
かった。その時、ルイスが心配して脈を診ていたが、いきなり

彼女のシャツの前を広げてブラジャーも、もぎ取り心臓マッサ
ージを始めた。先の尖った乳房が汗で濡れていたがお構いなく
心臓の上に両手を当てて、規則正しく両手を動かしていた。
ゲリラの女性の唇が血の気が引いているのが私にも分かった。
ズボンの太腿部分から少し血が滲み、ズボンの股が濡れて失禁
している感じも受けた。

ルイスとルーカスが交替して、マッサージを続けた。
ルイスが私達に説明してくれた。「ゲリラの女は夢中で登って
 来たが、自分が隠れている直ぐ側に来ても、感ずかなかった
 ので、やり過ごして、後ろから弓の矢で太腿の辺りを軽く
 突いて押し倒した。しかし興奮していたのか、薬が廻るのが
 早くて、直ぐに口から泡を吹いて倒れて、そのまま気絶して
 この騒ぎで私も驚いている、」と彼は話すと、ジッと見詰めて
いた。

ズボンの太腿辺りから新しい血が流れて来た。
ベアトリスが「血止めをしてやらないとーー!」と叫んだ。
私はポケットナイフを出して、ズボンを切り裂いた。
股の上までバッサリと切り、ゲリラの女の失禁で濡れた下着も
見えていた。太腿のなかばから血が滲んでいたが酷くはなかった
が、一応股の付け根をひもで縛り、傷口を消毒して、化膿止め
の緊急薬品のパウダーを降りかけて、包帯しておいた。

ルイスが「矢じりは折れてはいないから心配は無いー!
 深くは刺さなかった」と話した。
ルーカスが「女が気がついた様だーー!」と言った。
微かに唇に血の気が戻り、目を少し開けて、ぼんやりと焦点の
ない目でどこかを見ていた。私の肩から掛けている水筒を見つけ
ると乾いた唇を動かして、「水ーー!水ーー!水ください~!」
と哀願して微かに手も伸ばして来た。

私は肩から水筒を下ろすと、ルーカスが女の背中を起して、両手
に水筒を握らせた。女は前のシャツは肌開けたまま、乳房に水を
滴りさせながら、いっきに飲んでいた。喉がゴクゴクと上下に
動き、無心に飲んでいた。誰も無言で見詰めていた。
余りの見事な飲みっぷりで、私の水筒は直ぐに空になつた。

その時、トランシーバ・ラジオに交信のサインを送って来た。
呼び出しが掛り、国境警備隊追跡班のジョアン大尉であった。
ベアトリスの父親が代表で答えた。
 
 「マテウスだが久しぶり・・・、
 元気な様だがーー、森林伐採キャンプの水場で交戦があり
 死傷者が出ている様だ、銃声は途絶えて聞えない、でも
 ボリビアからの進入者が居る様で、地雷が敷設されている
 から危険だーー、今は近寄るな。あとどのくらいで水場の
 近くに到着する予定か教えてくれーー!」
 
 「3時間は掛りますーー!、水場の下流の見晴しの良い空き地
  で合流しましょう」と答えが帰って来た。
 では次回をお楽しみに、

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム