2012年5月20日日曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(10)

ルーカスが歩き始めて、気になったことが有った。
彼が、我々が良く子供の頃に遊んだゴムのパチンコを手にし
ていたからで、ライフルは肩に担いでいた。
ゴムの紐で小さな石などを飛ばして、小鳥などを打ち落とす、
Y字型をしたごく普通のパチンコであった。しかし彼は自分で
作った、粘土を丸めて作った弾を使用していた。均一な大きさで
かなりの威力が有るのを知っていた。

10mぐらいでは殆ど全部命中させる腕があった。
そして、彼が使う別の使用方があるのを知っていた。それは
40cmぐらいの矢をつがえて、飛ばしていたからで、かなり
の遠くまで飛び、矢先には毒を塗っていたので、鹿などは簡単
に仕留めていた。まさかゴムのパチンコで矢を飛ばすなどの発想
は私には無かった。小動物などは粘土の弾か、小さな矢で仕留め
て居るのを知っていたが、まさか撃ち合いしている現場の偵察に
ゴムのパチンコとは信じられなかった。

わたしも一度ハトを撃ちに行って、木に引っかかって落ちてこ
ない鳥をあきらめていたが、ゴムのパチンコで簡単に打ち落とし
てくれた覚えがあるので、何か役にたつ利用法があると感じた。

ルイスは弓矢を使用していたが、いつもは杖の様にしていたので
余り感じなかったが、使用すればかなりの威力の有る武器になる
と思った。ルーカスの偵察の帰りを待つことにして、我々は
藪の中に隠れて居たが、時々持たせたハンド、トーキーのラジオ
から、報告が来ていた。

音量も小さく絞り聞いていたが、ベアトリスの父親が時々何か
指示して、聞いて居たようだ。我々はジッと緊張の心で時々
下の銃声を聞いて、無言で藪の中に座り込んでいたが、前より
グーンと銃声は少なくなっていた。
私は撃ち合いしている両方がきっとボリビアから進入して来た
特殊部隊員と、ゲリラが遭遇して撃ち合いを始めたと感じていた。

国境警備兵であれば偵察のセスナか、ヘリコプターが飛来して
無線会話もラジオがキャッチして、会話を聞く事が出来ると感じ
ていた。一切無言での撃ち合いの応酬であった。

我々は民間人で、何も命を賭けてゲリラを殲滅させる事もなく
わざわざ撃ち合いの現場に割り込むこともなかったので、ジッと
静観して、事の成り行きを見詰めていた。

その時、ラジオからルーカスの声が低く入ってきた。

「ゲリラが一人逃げて、そちらの方に向かった。
 気を付けてくれーーー、射殺するのは簡単であったが、
 こちらの居場所をしられたくないため見逃した」と連絡が
有った。ルイスは直ぐに弓を用意して、やじりに巻いてある
テープを取り外した。私が「毒かとーー!」聞くと、
「イヤーー、身体が麻痺して動けない様になる、」と答えた。

それだけ答えると、散弾銃を背中に背負うと犬をヒモで繋ぎ
カモフラジューの網を被ると、小走りで藪の中に消えて行った。
獲物を待ち伏せする様に、ハンターの機敏な動作であった。

しばらくしてベアトリスの犬が緊張して下の藪を見て、耳を立て、
低く唸りだした。そしてベアトリス見上げて、「誰か知らない
奴が慌てて登ってくるーー!」と言わんばかりに動作していた。
その時、下の藪で「ヒ~!」と短く悲鳴が聞えた。
 では次回をお楽しみに、

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