2012年5月28日月曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(13)

どのくらい時間が過ぎたかは覚えてはいないが、ベアトリスと
銃を構えて、茂みに隠れていた。すると静まり返ったジャングル
に鳥の鳴声がしていた。チチーー、チチーーと規則正しく鳴いて
いたが、その時「ハット~!」感じて私の腰に差している拳銃の
ホルスターの横の小物と弾を入れたサックから、昔、狩猟で使った
水笛を出して、ふたを開けて中の水を確認して、インジオから

教えてもらい、練習して覚えた様に「チ--チーーチチ、」と
返した。直ぐに返事が帰って来た。やはりルーカスからの信号で、
昔、彼に連れられて行って良く覚えていたので、直ぐに彼と感じた
。「チチーー、チチーー、」とダブルで鳴く声は、移動するとか
移動するから撃つなと言う意味で、その時の現場の状況で判断して
いたが、今回はその両方と感じた。

私が返した鳴声は「チーー、チ-ー」は了解と言うOKのサイン
であった。正確には「移動は了解した安心しろ」と言う意味に
なっていた。しばらくして、横の藪の方に犬がしきりに耳を立て、
尻尾を振り始めたので、誰か来ると直ぐに感じた。先ずルーカス
の犬が口を皮紐で軽く縛られて、吼えない様にして嬉しそうに
しながら出てきた。犬同士がやれやれと言う様に、口紐で縛られた

口で、お互いにクンクンとやって挨拶していた。直ぐにルーカス
がカモフラジュ-の網をかぶって、木の枝も所どころに差して
完全偽装で現れた。ルーカスは先ず一番先に口を開いたのは、

「襲撃者にカービンライフルを渡すな、取りに戻って来たら
 狙撃して射殺しても渡すな」と口を開いて言った。

「拳銃だけでは、おそらく肩に弾が当たっていると私も感じたので
 それに右肩を押えていたので、利き腕がマヒして使えないので、
 慣れない左腕での、拳銃の射撃は先ず半分以下の命中率で使い
 物にならない、特にジャングルでの移動では片手で銃を持って
 歩く事は、藪の中では歩く速度が半分以下なるーー」と言って

「それより、出血が酷かったら、歩いて動く事は致命傷になる
 かも知れないーー、それに多分、水筒や、食料を入れたカバン
 を近くに落とすか、隠しているに違いないーー!ここで見張っ
 て私を援護して、何かあったら直ぐに連絡してくれーー、」
彼はそこまで話すと、犬を先頭に藪の中に消えて行った。

しばらくして、下の岩場にひよっこりと藪の中から出てきた。
先ずカービンライフルと、弾倉を取り自分のライフルは肩に担ぎ
小型のカービンを構えて、犬に近所を捜す様に命令した。
犬は直ぐに藪の中から、カバンを探し出してきた。
水筒も付いて、かなり大型の背中に背負う様に出来るタイプで
それから推察すると、襲撃者は体一つで逃げていると感じた。

上のこちら側から見ていると、ルーカスがいる現場から、かなり
離れた藪に微かに動いた陰が有った。すかさず水笛で緊急の発信
を送った。「チーチーチー」と鳥が何かに襲われた時の様に鳴らし
た。信号は「危険、危険~!」と言ったのと同じで、直ぐに
ルーカスがこちらを覗いているのが分かった。昔、彼に習った
様に手話で、指を5本立て、人差し指で方角を示し、指を一本
立てて、それを左右に振って歩いて逃げている事を知らせた。

正確には「50m南の方角の藪を、一人の襲撃者が歩いて逃げて
 いる」と教えた。彼から指を丸めてOKのサインが帰って来た。
彼を見ていると、首に付けていたゴムのパチンコを外すと、粘土
の弾を皮に挟んで、大きくカーブを描いて、藪の先まで弾いた。
一つ、二つと同じ感じで、粘土の弾が飛んでい行った。
すると微かに動いていた陰がピタリと止った。

私がいる所からでは、その粘土の弾が出す音は聞えなかったが、
おそらく、襲撃者は逃げている前方に異常な音がするのに気が付
て、足がすくんで動かなくなったと感じた。ルーカスの罠に掛っ
た様だ。狩猟で使う獲物を竦ませるやり方であった。

必死で逃げる人間が一度、竦むと動きが極端に臆病になり、不安に
なる様だ。この先誰か待ち伏せしていないか、カサカサと藪の木
葉をかすめて落ちる音は、人がどこかに潜んでいる錯覚を起こさ
せる、ルーカスは犬をヒモでつなぐと、ゆっくりと藪の中に犬を
先頭に忍んで行った。

しばらくして、突然「ぎゃ~!」と叫びが起った。それと同時に
犬が激しく叫んで何かを襲う「グァ~!」と言う声が聞こえ、
そして静かになった。
 では次回をお楽しみに、

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