2012年6月12日火曜日

『ゲバラのゲリラ残党を討てー!』

ゲバラ残党ゲリラ追跡の思いで(19)

しばらく緊張が兵士達の中に張り詰めていた。
ジョアン大尉のハンドトーキーの呼び出しが鳴り、何か話して
いたが、突然笑い声を出すと、『味方の大勝利~!野豚を2頭
射殺して捕獲した。』一斉に兵士達が歓声を上げて喜んだ。

それからがまた、ひと騒動ーー!降ろした荷物を、ラバを呼び
戻して積みなおし、その現場まで皆が急ぎ足で行くと、すでに
解体が始まっていた。60キロは有る、良く肥えた野豚であった。
河原の僅かな空き地に部隊が止り、お昼の休憩となった。

ラバは荷物が下ろされ、河岸の青草が与えられ、河の流木を集め
て、焚き火が起され、大鍋が架けられて煮込みが作られていた。
野豚はガーリックを潰した中にワイン酢を混ぜて、岩塩を潰して
肉にすり込み、手際良く慣れた手つきでガーリックのソースを

肉にまぶして作業が済んでしまった。ガジエッタのパンを入れて
来た袋で包むと、今夜の焼肉の準備が出来た。肉はしばらく寝か
すと、もっと美味しくなるそうで、皆は今夜の夕食を楽しみに
ランチを済ませてしまった。ルーカスがマンジョーカの芋を

から揚げして、蜂蜜を塗ると皆にお菓子代わりに配っていた。
僅かな量であったが、甘い蜜の味で元気が湧いてきた。
兵士達も甘い物が口に出来た事で、喜んでいた。暑い日中を少し
長く休んで、見張りの兵士を除いて、木陰で寝転ぶ者、うたた寝

する者、犬と遊んでいる者、ゆっくりと過ごしていた。
日が少し落ちて、行軍は開始されて、野豚がラバの背中で揺れて
いた。プーンとガーリックとお酢の匂いが漂い、今夜の焼肉が
待たれた。皆は元気一杯に歩いて、少し早めに野営地を決め、

テントを張って、河岸に水セリを捜しに5名ほどが出かけて行った。
焚き火が起されて豚が火にかけられ、ジットリと焼かれて行った。
脂が火に落ちて、香ばしい香りが漂い、犬達がジッと見詰めて
いるのが分った。犬達だけではなかった。兵士達も遠巻きに座ると
焼けるのをジッと待っていた。

そこに水セリを抱えた兵士達が戻って来た。川岸で洗うと、綺麗な
岩の上に積み重ねて、セリがサラダ代りに用意された。
オリーブ、オイルにガーリックの潰した物が混ぜられ、辛い胡椒が
刻んで入れられ、全ての準備が整った。パンもインジオ風のパン

が焼かれて、丸い平たいパンが鍋に積み上げられた。すべての
準備が済むと、肉が大きなブロックに切り分けられ、木の枝に
刺すと、兵士達が両側からナイフを持って好きなだけ切り取り、
パンを皿に乗せ、水セリを掴むと、オリーブ、オイルに葉を

漬して、バリバリと食べていた。皆の顔がほころび、嬉しそうに
肉をほうばって食べていた。私もまけずに食べていたが、犬達も
おこぼれが分けられて、骨までガリガリかじって食べていた。
昨日の戦闘などはどこかえ忘れて、ひたすらかぶり付いて肉を食
べていた。

幸せな一時をルーカスや、ルイス、ベアトリスの父親、カウアン
氏と仲良く世話話をしながら食べていた。ベアトリスも美味しい
と沢山食べていたが、2頭の野豚は全部は食べきれなかった。
そこにマタッコ族のインジオの狩猟者が肉の焼ける匂いに誘われ

訊ねて来た。知り合いのインジオで、ジョアン大尉に挨拶して
挨拶代わりに、カチュリンと言う、焼酎を二本差し出した。
75度も有るアルコールの強い焼酎で、早速に3倍に冷たい水
で薄められ、レモンを切って入れると、各自の携帯のコップに

少しずつ注ぎ回され、皆はインジオの狩猟者に礼を言って飲んで
いた。私も少し注いでもらい飲んでいたが、肉に合う酒であった。
その夜は久しぶりに酔い、美味しい肉を食べ、満足して河原に
寝転び澄んだ星空を見上げていたが、いつのまにかテントにもぐ
り込んで寝ていた。
 では次回をお楽しみに、

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