2012年1月10日火曜日

私の還暦過去帳(136)

サルタ州で農場の仕事をしている内に、近所の町に住んでいる
日本人の人達と知り合う様になり、仕事でその町に行くと必ず
顔を見せていました。

タルタガールの町は田舎としてはかなりの大きな町ですが、大
都会の様には雑踏も有りません、その廻りの石油製品を賄うのに
石油精油所が有るくらいでした。ボリビア国境のアルゼンチンも
北の果てと言う感じで、ひなびた都会でした。

私がトマトの作付け状況を偵察にタルタガール市場と仲買の話し
を聞いて、今年はどのようなトマトの種子を植えるか、それも
研究に歩いていました。
その町には大城氏が洗濯屋を開いていまして、行くと必ず寄って
お茶を飲んでいました。時には食事もご馳走になっていまたので、
近郊のトマト農家の現状も知ることが出来ました。

町の住宅街の近くで小さなお店でしたが夫婦とパートの三人で
仕事をしていましたが、子供は全部育ってしまい、ブエノスの町
に住んでいると話していました。
そろそろ引退して子供の近くに引っ越すと話してくれ、この店を
売りに出すと話してくれましたが、中々適当な人が見つからなく
困っていました。

そん時に訪ねて行き、タルタガールに着いて直ぐに顔を出し挨拶
して、それから市場に行きましたが朝の競りは終り、仲買と話す
のには丁度良い時間でした。しばらく話して遅いランチを食べ様
と市場の近くを歩いていると、誰か、何処かで会った感じの女性
が見ていました。

思い出せず側まで来て、その若いインジオの女性は、はにかんで
笑顔でいます、私もはて~!と考えていましたら、昔にトラック
に乗せて、私の町まで来て、友人の家で一緒に夜を過ごした
あのインジオの女性でした。

あの時からしたら、少し身体に肉が付いて福与かな感じがして
前からしたら、美人に見える様になっていました。
駅前の別れから、だいぶ時間が経っていましたが、彼女は忘れる
事も無く笑顔で私を見ていました。

私が両手を広げると、小柄な身体を飛び付く様に抱きしめてきて、
久しぶりの再会を喜んでくれました。
ランチを聞くと、まだ済んでいないと言うので、近所でピザを
食べる事にしてテーブルを取り、注文してワインとソーダーを
テーブルに置いて話し始めて、近況を知りました。

彼女は世話になった事を感謝して何度もお礼を言って、ピザが
テーブルに来るまで手短に話していました。
インジオの田舎生活は結婚相手も難しいと嘆いていまして、
また都会に出る事を考えていると教えてくれました。

レストランでピザとサラダが出て来るまでに、あらかたの話しを
してくれ、現在は共同で姉夫婦と同居して、小さな雑貨屋をしな
がら洗濯屋の取り次ぎ業をして食べていると話してくれました。

私が大城氏の洗濯屋を知っているかと聞くと、そこに頼んでいる
と言うので驚いてしまつた。食後に彼女を連れて大城氏の店を
訪ねると驚いて、大城氏が私を店の隅に連れて行き、小指を出し
て『あんたのコレーーかい~!』と聞きました。

私もつられて『やんぬる事が有り、一晩彼女が泊まったことが
有る』と言うと、後は一人合点して、大喜びで『彼が彼女を連れて
来たよーー!』と奥さんに声を掛け、その後は私が何と言っても
『わかった~!、わかった~!』で終りでした。

とうとう夕食まで付き合う事になり、リサと言う彼女も私の恋人
として扱われ、夕食にはシャンペンも開けてくれ、『おめでとう』
と声を掛けてくれ、私は返答に困り、苦笑いをしていました。
しかしインジオの彼女は恥ずかしそうにしながら、内心は嬉しそ
うにしているのを感じました。

彼女がインジオの少し小麦粉肌でしたが、顔立ちは日本人に似
ていて黒髪の小柄な体格は、日焼けして無骨な私には似合って
いたと感じます。私も生まれて初めての体験で、少しドキドキ
していました。
お酒の酔いも有って、大城夫妻ともリサが仕事の関係で知り合

いであり、多いに話が弾んで、私に『彼女は働きもので、素直な
良い女性だよ~!』と話してくれました。
私が結婚適齢期を迎えているのを知っているので、何度も声を
掛けられ、女性を紹介された事がありました。

大城氏の店先に止めていたトラックでそろそろ帰るからと言うと
『2時間は運転しなくてはならないし、少し酔っているから今夜は
家で泊まっていきなさい』と進めてくれ、奥さんが私のトラック
のカギを取り上げてしまい、大声で『ダメよ~!酔っ払い運転は』

と、お祝いだからと今度はワインの上等な瓶を開けてくれ、
グラスになみなみと注いでくれ、彼女にも注いでいました。
私は誤解でも、楽しい雰囲気を壊したくはなかったので、
乾杯の音頭を取り、ワインのグラスを合わせ、楽しく日本の歌を
唄って、久しぶりに農作業の疲れも吹き飛ぶ感じで過ごして
いました。

かなり夜遅くなり、店の裏側に有る昔の子供部屋が客間として
用意されていましたので、その夜はそこで泊まる事になり、大城
氏が『リサ!貴方も泊まるか、それともタクシーを呼んで帰るか』
聞いていました。彼女はためらう事無く小声で『今夜はお邪魔で
すが泊まらせて頂きますーー!』ときっぱりと答えていました。

私は少し酔った頭でも『ドキリ~!』とする言葉でした。
前に友人の小屋で泊まった時にハンモックから素裸で私のベッド
に朝方もぐり込んで来た、妖艶な彼女を思い出していました。
今夜のこの時間と、前に経験した妖艶な時間とが重なり、彼女の
身体に似合はない大きな乳房を思い出して、そして、友人の小屋で

ベッドから起き際に、私の両手にしっかりと握られえた乳房の感覚
が手の平に蘇ってきました。それから露天風呂に汗を流す彼女の
裸体を思い浮かべていました。何か前の続きが現実に起き様と
している感じを受けて、若い独身男の何かが目覚めた感じでした。

私と彼女を離れの客間に送り出す時、大城氏の奥さんが家族風呂
の小さなものだけど、お湯を溜めておいたからと教えてくれ、
浴槽に溢れたお湯を見て、久しぶりの日本式風呂に感激していま
した。綺麗な部屋の中で彼女は昔の続きを取り返す様に、私の

前で乳房を出して素裸になり、少しはにかんで抱き付いて来ま
した。今回は何も止める事態も無く自然に抱きしめてやり、
私の男の本能が目覚めていました。
その夜は、独身の若い男の経験としては充分でした。

まどろんで朝が来て、朝早く起きる習慣で目が覚め、起きて窓
を透かすと、何時の間にか起きた彼女が、着替えてテラスの
イスに座り、マテ茶をストローで飲んでいました。
しばらく二人でマテ茶を廻し飲みして終ると、彼女が私を固く
抱きしめて、唇を重ね店の横のドアから出て行きました。

見送ると、まだ人通りが少ない早朝の道を手を振りながら消えて
行きました。
別れ際に『神様が私の心のわだかまりを消してくれた』と一言
つぶやいていました。

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