2011年12月18日日曜日

私の還暦過去帳(119)

私がアルゼンチン奥地のサルタ州のボリビア国境近くの小さな
町で農業をしていた時代です。時々、近所の小さな田舎都市
に用事で出かけていました。
殆どは耕作機械の部品買いでした。トラックターなどの部品で

緊急な時は夜中でも出かけて、翌朝店が開店したら一番で飛び
込で目指す部品を買って、農場に帰っていました。
その時は昼過ぎにトラックターの燃料漏れでパッキングのシール
を交換しないと動かせ無くなり、あわてて出掛けて行きました。

店には電話で部品のストックも確認していましたので、閉店間
際に飛び込み、部品を手にする事が出来ました。
パッキングと言っても手の平に入る小さな物ですが、それが無い
とエンジンが危険で動かせません、帰りは急いでいましたので

トラックに燃料を満載して、予備のタンクにも入れて、夜中は
ガソリンスタンドなど開いてはいない田舎道です、僅かな食べ物
を紙袋に入れて、走っていました。
直ぐに夕暮れとなり、サンドイッチを片手に夜道をかなりの
スピードで飛ばしていましたが、両側は砂糖きび畑で人家など
は無いわびしい田舎道でした。

オランと言う飛行場も有る田舎の小さな都市に行く、交差点で
若いインジオの女性が小さなカバンを手に、暗くなった国道の
道端に立って、手を上げていました。
私は夜中の一人旅で、ラジオも途切れ途切れに聞える田舎道で

寂しいトラックのエンジン音だけの道中です、そこの交差点を
過ぎると、ジャングルがうっそうと茂る中を走る道となります、
私はその女性からかなり行き過ぎて止まり、窓から手真似で、
呼びましてた。彼女は走ってくるなり『アグワ・ブランコまで

行きたいーー』と話して、乗せて呉れる様に頼みました。
私は彼女がボリビア国境近い所まで帰るのだと感じ、乗せる事
にしました。彼女は走り出したトラックの助手席で私が食べる
サンドイッチをチラリと見ていました。

私は紙袋から残りの物を出すと、彼女に勧め食べさせました。
農場で沢山収穫するオレンジもカゴに入れて足元に置いて有り、
それも食べる様に勧めて、それまでは人恋しく、寂しい感じで
夜道を走っていたので、狭い運転席で、彼女の汗の匂う体臭も
余り気になりませんでした。

やつれた感じのインジオの女性で、まだ20歳前と感じました。
私は日に焼けてインジオの雰囲気を出す現地人風です、彼女も
心許して少し、食べ終わると話しを始めました。
お手伝いとして、サルタ州都の町で仕事をしていた様でした。

それから2時間ばかり、でこぼこ道の砂利道を走って私の町に
着きました。彼女は目的地まであと2時間は走らなくてはなり
ません、遅くなり、私も町から12kmは有るジャングルの小道
を真夜中に走るのはいやで、町外れの友人の小屋で泊まる事に

して、その夜は友達を訪ねました。彼は慣れたもので、私の
トラックに乗ってきたインジオの女性も気にする事無く、
『泊まれ~!、明日朝早く農場に帰れば安全だーー!』と
言って、離れの小屋に案内してくれ、日本式風呂もお湯が

暖かいから浴びろと勧めてくれました。彼は何一つ質問する事無
く、母家に戻って行きました。私は彼の小屋に少しの着替えを
置いていましたので、直ぐに風呂に入りました。
彼女は初めて、野外の日本式風呂を見て驚いていました。

まだお湯はポカポカと熱くて心地良い感じでした。
彼女にも風呂に入り、汗を流す様に勧めて私は風呂上りのワイン
をグラスに注いで、チビリと飲んでいました。
時々、野外の風呂場のランプの光に彼女の裸体が浮んで見えます、

少し痩せた、引き締まった身体で、小柄なインジオの体格でした
が、乳房は大きく身体には似合わない感じがしていました。
彼女は私が見ているのを知っている感じで、汗を流していました。
私も若い頃です、若い女体の全裸は興味があり、小麦粉色の

輝く肌が綺麗な彼女に少し興味がありました。彼女はシャツを
お湯で洗い、濡れた髪を解かしながら小屋に戻りまして、
シャツを軒下に乾して、私が勧めるワインを受けてくれました。
友人の犬が挨拶に小屋に来て見ていました。

静かな夜更けです、私はワインを飲んで、疲れから直ぐに眠くな
り私がいつも使うベッドから、毛布を取ると部屋の隅に釣ってあ
るハンモックに彼女が寝る様に教えて、『明日は夜明けにはここ
を出るーー!』と言ってランプを消し、眠りに付きました。

疲れからと、酔いも有って直ぐに寝入ってしまいました。
翌朝、微かに日が昇り始めて、鳥の鳴き声がして目が覚めました。
ハンモックが揺れ、全裸の彼女が降りて私のベッドに来るのが
感じられ、私の毛布を退かすと横に滑り込んで来ました。

大きな乳房が揺れて、小声で、『抱いてもいいから~!』と
話すと、しっかりと私を抱きしめて、絡んできました。
その時です、外でトラックターのエンジンが始動始め、犬が吼え
一日の活動が始まった感じでした。友人の声がして、

『コーヒーの用意が出来たぞ~!起きろーー!』と外で怒鳴って
います、私は一瞬、男の本能が消し飛ぶ感じがして、起上ると
一度だけ彼女の乳房を両手で握り、抱きしめると無言で外に
着替えて出ました。朝は躍動し、朝焼けの空に冷たい空気が
流れていました。

熱いコーヒーを友人と、外のテラスで飲みながら、今日の一日
を考えていました。その朝、近くの駅までトラックで彼女を
送り、切符を買ってやり、物売りからチーズ入りのチーパの
パンを買い与え、昨夜洗濯していたシャツを着た彼女が、今朝の

妖艶な女から普通のインジオの女性に戻り、駅前の雑踏に居ま
した。私が駐車したトラックに戻る時、追い掛けて来ると、
トラックのドアを開けて乗り込む私に、右手の先を自分の唇に
当てると私の唇に微かに触り、其のまま走って消えて行きました。

しばらくトラックで走って、駅の方角から機関車の警笛が発車の
『ぽーーーー!』と長い響きが聞えていました。

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