2011年11月23日水曜日

私の還暦過去帳(97)


インドで私が見たクリニング屋はだいたい2種類に分れると感じま
した。 一つは、普通の日本で見られるドライクリニングタイプです、
これは ちゃんとした店構えで、機械も最新式を備えた店です。
中には服を自動で動かして取り出す機械を設備した店も見ました。

その一方で、住宅街の道路の片隅で、街路樹と塀の間に日除けの
テントを張り、塀の下の方には上手くロッカー形式の収納庫を作って
有り、そこで長年に、アイロンをかけて仕事をしていると感じました。
最初、私は朝の散歩で見つけました。かなりの老人で、沢山のお得意

を持っている感じでした。助手も一人居まして、側で手伝っていまし
たが、 アイロン掛けが済んだら配達して居る様でした。
まず、朝早く来てアイロンに炭火を入れなくてはなりません、アイロ
ンは 約2キロは有る大型です、一度に200グラムの炭を入れる事が
出来ると話していました。

それで約半日の仕事が出来るそうです、シャツでしたら60枚はアイ
ロンをかけられると教えてくれました。中々上手い手付きで仕事をし
ていました。私は興味が有りましたので翌日、朝早く出かけて見る事
にしました。まず塀際のロッカーから炭を出して、細かく砕きそれ

から、ぼろぎれを適当な大きさに切って、それにガソリンを染み込ま
せて、 その上に炭を載せて火を付けます、適当に火が付いたらその
上に大きな 炭を載せて火を付けます、それが出来たらアイロンに上手
く並べて置き、 炭を均一にして火が平均に行く様にして、フタ被せて

いよいよ仕事に掛る 様でした。近所から洗濯籠に入れた洗濯物が届け
られ、アイロン台がおかれて、霧吹きも大型の真鍮製のかなり年代物
が置かれて仕事が始まり、 サンダル足で、側にはアイロンに入れた残
りの炭火で、小さなコンロでインドチャイを入れるお茶が沸いていま
した。彼にはそこが仕事場で、生活にも繋がった場所と感じました。

畳1枚ぐらいの場所です、並木の下で小さな テントを被せて有り、休
み時間には寛ぐための、折りたたみのイスが置いて有り、全てが彼の
大切な世界と思いました。アイロンは温度調節も出来ないのでどうす
るか見ていましたら、何とシャツの上に、タオルを置いて、熱過ぎ

る時はそれで上手く調節している様でした。この様な仕事で生活が成
り立つのですから、やはりインドですーー!綺麗にアイロンをかけた
シャツ が積み上げられ、籠に入れて配達されて行きました。

通りを行く近所の奥さんと挨拶しながら悠然と、重い炭火のアイロン
をかけていた老人を今でも思い出します。

次回はインドの乗り物の話しです。

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