2011年10月11日火曜日

私の還暦過去帳(70)

初笑いのお話しですーー!まずは『笑いの門には福きたる』
『笑いは百薬の調』とか言いますが、今日はお堅い話は抜きで、
まずは『ニタ~!』と笑えるお話ですーー!

いつも夏になると思い出す事が有ります。

今日のお話は題して、「真夏の昼夢」と私が心に感じている事です。
かれこれ20年以上にもなりますが、思い出は鮮明に今でも覚えていま
す。
それは夏休みに入り、かなり暑くなった時期でした。
私はその頃、大きな集合住宅のアメリカでコンデミニアムと言う、住宅
の管理を請け負っていましたが、夏になると、散水装置の故障で、その
修理に追われていました。

かなりゆったりとした緑地の中に建物が建てられていましたので、見回
りは自転車でしていました。その集合住宅も古くなって、あちこちと痛
みが出ていた時期でした。散水装置のスプリンクラーの配管装置はPV
Cのプラスチックのパイプで、接続部分の接着剤が老化で、良く水が漏
れて修理に追われていましたが、ある日、3インチの本管が木の根で押

し上げられ破裂して、大仕事になりましたが週末に散水装置を修理して
おかないとその当時かなりの暑さが続いていて、水を庭園に散水しない
と、えらい事になり、平日は決まった仕事が山の様に有って、行列して
いましたので、どうしても週末にかたを付けて、修理を終わらせてしま
いたいと思っていました。

週末の休み、朝早くからまず大きな穴を掘り出して、かなり掘りました
が沢山大きな松の根が有ってそれを切って処理するのに手間が掛り、中
々はかどりません、土も粘土質のコンクリートの様に固い土でシャベル
では歯が立ちません、つるはしで少しずつ掘り、シャベルで土を出して
いました。

集合住宅の直ぐ近くに高校が有り、賑やかなスポーツ大会が有っている
様でしたが、パーキングが出来ない車が、こちら側のコンデミニアムの
来客用パーキングにも来ていました。一台の小型スクールバスがどこか
の高校のチェアーガールを乗せて来て、パーキングしてそこから応援に
道路を隔てて、歩いて競技場に行ったのを知っていました。

お昼のランチ時間も過ぎて、かなりの格闘の末に穴も深く掘りプラスチ
ックのパイプも見えて来ましたが、破裂してかなり穴の奥はドロドロの
ぬかるみで私も汚れ放題で必死に綺麗に土をかたずけて、修理のスペー
スを確保するのに木の根を切って、また伸びてパイプが破損しない様に

切りとっていました。そんな事でかなりの時間を食い、あらかた見込み
が立った頃は夕方近くなって、お腹も空いて、持って来た水も飲み終え
て、疲れ果ててドロだらけで、まるで泥人形のていで仕事をしていまし
た。

疲れてペタンと穴の中に座り込んで、まるで墓穴の中にいる感じでした
が、やっと最終の接続を済ませ、接着剤が乾燥するのを待っていたと思
います。
その時です、松の根っ子の茂みの向こうの塀を境にしたパーキングから
賑やかな若い女子高校生らしいチェアガール達がドヤドヤと高校から帰
って来た感じで賑やかな話し声が聞こえていました。

塀の僅かな隙間から見ると色鮮やかなユニホームが見え、若いピチピチ
したミニスカートの女の子が沢山見えます、すると中の一人が廻りを見
廻すと、こちらの茂みに駆け込んで来ました。それからが私がアッと仰
天して、腰を抜かした事が起きました。私が見ているのも知らず、いき

なり『じや~!』です、板塀の隙間から生暖かい飛沫も飛んで来ました。
穴の中からピョコンと少し顔を出しているぐらいでしたが、多分誰かが
見ていたら、いいかげん良い年したオッチャンが目を見開いて、仰天し
て、驚愕の表情で、飛沫を浴びながら放心して、ドロだらけの顔が引き
つっていたと思います、多分口は開けてはいなかったと思います、それ

は変な味がした飛沫が口の中に飛び込んで来た記憶が無いからです。古
い板塀の下はかなり痛んで隙間があったから、口を開けてポカンとして
いたら、たっぷりと味見をする羽目になっていたと思います。『次ぎー
ー早くおいで~!』との声と同時にまた、今度は『シーーーーーー!』
と穏やか系の音、しかしえらい物を見てしまいました。

あそこの色がチラリと見えたからです。平凡な普通のオッチャンです、
『ドキーン~!』と心臓が高鳴り、ドキドキと心臓の異常鼓動がしてい
るのが自分でも分かりました。その時です、スーッと腰の力が抜けてく

るのが分かり、穴の中でペタンと座り込んでしまいました。晴天の霹靂
とはこの事です、次ぎの『ジョーーーー!』と音が変わると、怖いもの
見たさに自分の意思に反して身体はヨタヨタと動いて覗いていました。
その時ですーーー!

一瞬、「ギャー!」と言う感じで本当に腰が抜けてしまいました。それ
は、沢山いた女の子の中で金髪のスラリとした、可愛い子チャンだった
からです、トンカチで一発、頭を「コチン~!」のショックぐらい有り
ました。ヘナヘナと腰が砕け、後は本当に穴の底にペタンです。

まあ~!皆様考えて見てくださいこれまさに、腑抜けになるとはこの事
です、産まれて初めてそして最後でした。
直ぐにバスは賑やかな若い女の子達の、はしゃぎ声を残して消えて行き
ました。
穴の底では放心して、ペタンと座り込んだ、良い歳をしたオッチャンが
仰天と驚愕の表情で、穴グマの様にうずくまっているのを想像してみて
下さい。

そなん事で、しばらくは頭の中は真っ白で、空腹も、疲れも、腰の痛み
も全部忘れていました。どのくらい穴の中に座り込んでいたかは、今で
は覚えてはいませんが、「はっ~!」と気を取りなおして我に帰り、主
バルブを開けてテストしました。水が漏れません、一回で成功して3イ
ンチパイプの修理が終りました。

やれやれーー!で庭園に散水のスプリンクラーを全開して、その中でド
ロで汚れた身体を服を着たまま洗っていました。穴を掘っていた直ぐ近
くに野生のブラックベーリーを発見して手のひら一杯取りまして、それ
を口に入れながらニタ~!か、へらーへらーかは覚えていませんが、笑
いながらーー!どこかのホームレスか、キチガイの風体で、シャワー代
わりに水を浴びていました。

長年にわたり仕事をしていた場所ですから、誰も警察には電話しません
でしたが、代わりに、コンデミニアムに住んでいる人が、「修理終った
~!」「Hello~!」などと声を掛けてくれました。私はその時、
疲れて、空腹で、腰も痛み我慢の限界に来て、少しイライラして頭に来
ていました。

打ちしおがれた私を神様が元気ずけに、チョイといたずらをしたのだと
信じておます、有り難い事です。この様な話しをジジイが棺桶に入れて、
あの世とらに持って行っても、何も神様はお喜びはなさらないと感じ、
ボケて忘れない内に皆様のお耳に入れたしだいです、この話しはワイフ
殿にも内緒の丸秘の話しですので、どうか心して読んで下さい。


そしてその夜、ワイフ殿がのたまわく「今夜はいやにしつこいね~!」
と、どやされましたことも書いておきます。はいー!そんなことで今回
は終りです。

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