2011年9月9日金曜日

私の還暦過去帳(47)

私が昔、アルゼンチンの奥地に住んで居た所は、南回帰線から、100
キロも中に入っていましたが、夏の野菜栽培は、ほんの少しの種類しか
出来ませんでした。

真夏の一番暑い時期は、青野菜は河の岸辺に出来る水セリでした。
覆いをして、沢山水を掛けてやっと栽培する事が出来まして、野菜栽培
の時期は冬の期間でした。

真夏の暑い時期に水せりを現地人から買って、昼のランチに食べるのに、
売りに来るのが朝早い時間で、それから水に入れてぐったりしない様に、
気を付けていました。

コップに挿して、好きなだけ取って食べます。オリーブ油とレモン醤油
での、たれに付けて食べます。あっさりととして、沢山のビタミンが有
り貴重な夏の食べ物でした。
インヂオも良く食べていた様です。夏は40℃も温度が上がりますと
11時には仕事を止めて、昼休みに入ります。真夏では3時頃まで昼休
みです。昼寝していました。

家の壁はアドベと言われる、日干しレンガです日本の土蔵と感じが同じ
です。屋根は椰子の木を真中で割って、芯をくりぬいて、竹の屋根の様
に互いに組んで屋根を葺きます。百年もの長い間、腐らないと言ってい
ました。

椰子の木の下は、土をかぶせて断熱の役目をしています。二重です。
40℃以上に気温が上がると、窓を閉めて、土間に水を撒いて家の中で
ジットしていました。

42℃近くなると、鳥も飛びません。暑くて底の薄い靴では歩けません。
鉄の部分は一切触る事は出来ません。直ぐに火傷をします。

外に駐車しておいたトラックのボンネットで一度卵をポンと落としたら、
「ジーーッ」と言って目玉焼きが出来たのには驚きました。
電気も有りませんので、勿論クーラーも有りません。でも土蔵作りの家
ですので、中に入ると「ひんやり~!」です。
暑い時間帯はブヨも、蚊も飛びません、しかしーー、

家の外の掘建て小屋便所の、深く掘られた便壷の中でブヨが隠れて居ま
す。刺されると痛痒い、しびれる様な感じで、そこが数日は赤く腫れて、
酷い熱を出すことも有ります。特にアレルギーの人は悲惨です。そこが
膿んで崩れます。最初に来た時に、しみじみと話しをしてくれましたー
ー。
「このブヨに刺されて、免疫が出来るまでは、どんなに苦しくても我慢
して下さい、お願しますーー。二ヶ月は辛抱ですーー、それが出来ない
と、ここでは住めません、」

刺される一番の酷い所は、まぶた、唇、です。それから女性は便所でや
られ得る事が有るそうですが、あそこですーー!
まぶたでは直ぐに目が開かない様になります。酷いものです。私はなれ
るまでは、まぶた唇には必ず防虫クリームは欠かさず塗っていました。

なれてもその習慣は取れませんで、塗り続けていました。
奥地に居る間は、現地の葉巻をくわえていました。
外に居る時だけです、防虫効果はバッグンです。肺には煙は吸いこまず
に、くわえているだけでした。

手の甲は刺されて、刺されてーー、刺され尽くして、真っ黒になるほど
でした。野球のグローブの様になりまして、箸を持ってご飯を食べる事
が出来ずに、スプーンで食べていました。

そうする内に有る時期から刺されても、赤くもならず、かゆみもほとん
ど感じず、黒くポッンと斑点が出来るだけで済む様になり、免疫が出来
てブヨなど考えなくなりまして、都会からお客が来て便所などで刺され
ると、悲鳴を上げて、大騒ぎをしていました。

便所に入る時は、まず新聞紙などをねじって火を付けて、便壷に投げこ
みます。それから少し間を置いて入ります。火と煙で、ブヨは死ぬか逃
げ出して、しばらくは安心して用を済ませる事が出来ました。

しかし都会からの訪問者はその要領が分らず、一度に沢山の新聞紙や、
トウモロコシの皮などに火を付けて投げこみ、便所を燃やしてしまうほ
どで、大騒ぎをした事が有ります、

一般的な女性の訪問者の服装です。

スカートの下にズボンをはきます、足首も隠れるような長い物です。勿
論長袖シャツです。手袋をして、顔には防虫クリームを塗り、スッポリ
と網のベールを頭からかぶって、車か、訪問した家から帰るまで外に出
ません。トイレも家の中に便所を作って有る家で用を済ませる事にして
いました。

野菜の仲買人がサファリールックでカッコ良く何も知らずに尋ねて来て、
悲鳴を上げて、30分もしない内に刺された所を冷やしながら車で猛ス
ピードで町に帰って行った事を見たことが有ります。

都会人などとは何とヒヨワな事かとーー、現地人や、インジオはここで
営々と生活して来たのですから、夏の日が暮れて、涼風がジャングルの
木々をなびかせてる頃、インジオ達が竹笛を吹いて唄っていた曲を思い
出します。

「母なる大地よーー、天なる父よーー、今日も我らに恵みをあたえたま
えーー、恵みの大地よーー、豊かな実りを神に感謝してーー、永久の命
を恵み賜えーー」

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム