2012年3月2日金曜日

私の還暦過去帳(184)



私はカリフォルニアの気候に惚れたのは、その抜ける様な青空と乾燥
した気温、オレンジの甘い香りと豊富な果物、私が居たアルゼンチン
の北部と似ていたからでした。私も農場で仕事をしていた頃は、沢山
オレンジを栽培していました。

トマトやピーマンなどの野菜ばかりでは、いったん霜害にやられると
収穫が皆無となり、経営が破綻することがありますので、比較的安定
して霜害が影響しないオレンジを持つ事は、安定経営として重要でし
た。バナナは霜害にやられる被害は大きく、大きな葉が溶けた様にだ

らりと垂れ下がっている畑を見ると哀れな感じでした。オレンジは霜
にもかなり強くて、被害に遭って霜に焼けたオレンジも安価ですが売
れますし、ジユースなどに加工する業者が引き取ってくれました。
原始林の伐採をしていると巨木を切って、インジオが教えてくれまし

たが、年代を示す年輪の環を見て、百年近い長い年月を見ていると、
時々その伐採した場所にも大霜が降りたことを示していた。彼等の示
す年輪が時を経て過去の気候を示す重要な記録と成り、教訓となる事
を教えていた。インジオが自然を大切にして、守り、育て、生活に密
着した生き方をしていた。

過去の現代貨幣社会の影響も無い時代を思い、彼等の生活態度が現代
社会を批判していると感じました。我々が利益追及の為に破壊と汚染
と、人間性までも否定して生活しなければならない、今の世の中が
勝ち組み、6本木ヒルズ界隈の居住者と、負け組みと指差される、

東京下町の足立区の年収200万にも満たない生活を送る都営住宅の
居住者など、富の格差の歪みと成って、日本人社会を蝕んでいるが、
全てが金銭対価の価値観を物差しにした生き方しかない、日本はこれ
からどうなるのか、アメリカに住んで祖国日本を思い、複雑な考えと
なる。

アルゼンチンの奥地、パラグワイ国境近い原生林で生活していたイン
ジオのマタッコ族が仕事に来て、働き者の真面目な家族持ちでしたが、
ある時『今日で仕事をやめる・・・』と言って来た。理由を聞くと、
『もう田舎で一年は十分に食べれられる現金収入が出来たので、それ
と当分は間に合う服や狩猟で使う弾や、医薬品も買い貯めしたので、
これで十分だと』

私はそれを聞いた時に、しばらくは価値観の余りの差に『茫然』とし
ていた。
竹笛が上手な男で、一日の仕事を終って夕方のそよ風に吹かれて、
カンニャーの酒を側に、家族に聞かせていた曲を今でも時々思い出し
ます。

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