私の還暦過去帳(156)
今日のお話もヘビが出てきます、それと言うのもこの話は思い
出すと今でも冷やりとして、心臓がドキドキする時が有るから
です。確かにあの時ぐらいヘビで緊張して、生アセを垂らして
ぞー!っと心冷やした思いは初めてでした。
それはアルゼンチン奥地での農場で仕事をしていた頃でした。
水掛の作業で水路を流している農業灌漑用水の流れを見て
廻っていた時でした。河岸から最終時点までは約2kmは有り、
かなり複雑な水路の流れを、農場の高低に合わせて流してい
たからでした。
一人で犬も付けずに歩いていました。しばらく歩いて畑が切れ
藪も有る所に来て、歩き出した時でした。
突然にガラガラヘビの尻尾の鈴が一番の危険信号の『ビーー!』
と言う連続の乾いた音を真近に聞いたからでした。
『しゃら!しゃら!』と言う音は警戒信号ではCクラスであまり接近
はしていませんので、噛まれる事は有りませんでした。しかし今日
の『ビーー!』と言う音は聞いただけでキモを潰す音です、幸いに
ニッカズボンの様に、鳶職がはいて居るようなズボンをはいていま
したし、靴は半長靴で一応はヘビに注意して用心をしていました。
だぶだぶのズボンは噛まれてもヘビは当たった瞬間を噛みますので
ズボンがだぶだぶの、すそが広がったズボンでしたら、当たった瞬間を
噛まれてもズボンの布地を噛む事が大きくて、大事には到りません
ので安心でした。それにしても音が全ての私の筋肉を硬直させ、身
が凍るとは、その事かと思いました。
私はインジオから教えられていた様に、ジッと動きを止めてピクリ
ともしないで足元を探して、見回りましたがなんと、40cmぐら
いの近所の足元で鳴らしていました。しかし見るとすでに誰かが、
棒かなにかで骨が折れるくらい叩いていましたので、飛びつかれな
かったのでした。
見つけると、私はゆっくりと腰に挿していた拳銃を引き抜き、ヘビ
撃ち用の散弾が装填されている事を確認すると、確実に狙い定めて
頭を撃ち飛ばしていました。瞬間、私の足がガクガクして来ました。
それと言うのもかなりの大きさで、毒牙の凄さを目の前に見てびっ
くりしていました。
どうしてインジオが生半可で殺すとはと考えていました。しかし、
助かりました。畑の奥で仕事をしていたインジオに聞くと、理由
は簡単でした。叩いた棒が折れてそれ以上は出来なかったそうです。
二度叩いたそうですが三度目に叩いた時に折れ、廻りに手頃な棒が
なく、ヘビも動かなかったのでそのままにしておいたと話てくれまし
たので、ひとまず安心でした。その時ぐらい犬を飼っていないと、と
んだ事になると感じました。近所の友人は利口な犬を持っていたので、
ヘビなどはすぐに見つけ出して殺していました。ぐるぐるとヘビのま
わりを廻り、そのすばやい行動と機敏な動作で瞬時に飛びついて噛み
殺していました。
くわえると物凄い速さで地面に犬の首を振って叩き付けていまして、
時間にしたら、一分も掛からない早業でした。
犬も良く知っていて毒蛇は必ず首根を噛んでいましたが、毒が無いと
胴の真中あたりをくわえて、気持ち良い音を立てて『パンパン!』と
軽い音を響かせて地面に何度も叩き付け、犬も得意になって、人間に
見せ付けていました。そのあとしばらくはガラガラヘビの鈴の音を聞
くと、思い出してはジト―!と冷や汗を流していたのを覚えています。
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