2011年7月15日金曜日

私の還暦過去帳(12)

 
いつも夏になると思い出す事が有ります。
今日のお話は題して、「真夏の昼夢」と私が心に感じている事です。
かれこれ20年以上にもなりますが、思い出は鮮明に今でも覚えています。それは夏休みに入り、かなり暑くなった時期でした。
私はその頃、大きな集合住宅のアメリカでコンデミニアムと言う、住宅の管理を請け負っていましたが、夏になると、散水装置の故障や、その修理
に追われていました。

かなりゆったりとした緑地の中に建物が建てられていましたので、見回りは自転車でしていました。その集合住宅も古くなって、あちこちと痛みが出ていた時期でした。散水装置のスプリンクラーの配管装置はPVCの
プラスチックのパイプで、接続部分の接着剤が老化で、良く水が漏れて修理に追われていましたが有る日、3インチの本管が木の根で押し上げられ

破裂して、大仕事になりましたが週末に散水装置を修理しておかないと
その当時かなりの暑さが続いていて、水を庭園に散水しないと、えらい事になり、平日は決まった仕事が山の様に有って、行列していましたので、どうしても週末にかたを付けて、修理を終わらせてしまいたいと思っていました。

週末の休み、朝早くからまず大きな穴を掘り出して、かなり掘りましたが
沢山大きな松の根が有ってそれを切って処理するのに手間が掛り、中々
はかどりません、土も粘土質のコンクリートの様に固い土でシャベルでは
歯が立ちません、つるはしで少しずつ掘り、シャベルで土を出していました。

集合住宅の直ぐ近くに高校が有り、賑やかなスポーツ大会が有っている
様でしたが、パーキングが出来ない車が、こちら側のコンデミニアムの
来客用パーキングにも来ていました。一台の小型スクールバスがどこかの
高校のチェアーガールを乗せて来て、パーキングしてそこから応援に道路

を隔てて歩いて競技場に行つたのを知っていました。お昼のランチ時間も過ぎて、かなりの格闘の末に穴も深く掘りプラスチックのパイプも見えて来ましたが、破裂してかなり穴の奥はドロドロのぬかるみで私も汚れ
放題で必死に綺麗に土をかたずけて、修理のスペースを確保

するのに木の根を切って、また伸びてパイプが破損しない様に切りとって
いました。そんな事でかなりの時間を食い、あらかた見込みが立った頃は
夕方近くなって、お腹も空いて、持って来た水も飲み終えて、疲れ果てて
ドロだらけで、まるで泥人形のていで仕事をしていました。

疲れてペタンと穴の中に座り込んで、まるで墓穴の中にいる感じでしたが。やっと最終の接続を済ませ、接着剤が乾燥するのを待っていたと思います。その時です、松の根っ子の茂みの向こうの塀を境にしたパーキングから賑やかな若い女子高校生らしいチェアガール達がドヤドヤと高校から

帰って来た感じで賑やかな話し声が聞こえていました。 塀の僅かな隙間から見ると色鮮やかなユニホームが見え、若いピチピチしたミニスカートの女の子が沢山見えます、すると中の一人が廻りを見廻すと、こちらの茂みに駆け込んで来ました。それからが私がアッと仰天して、腰を抜かした

事が起きました。私が見ているのも知らず、いきなり『じや~!』です、板塀の隙間から生暖かい飛沫も飛んで来ました。穴の中からピョコンと少し顔を出しているぐらいでしたが、多分誰かが見ていたら、いいかげん良い歳したオッチャンが目を見開いて、仰天して、驚愕の表情で、飛沫を浴

びながら放心して、ドロだらけの顔が引きつっていたと思います、多分口は開けてはいなかったと思います、それは変な味がした飛沫が口の中に飛び込んで来た記憶が無いからです、古い板塀の下はかなり痛んで隙間が有ったから、口を開けてポカンとしていたら、たっぷりと味見をする羽目に

なっていたと思います。『次ぎーー早くおいで~!』との声と同時にまた、今度は『シーーーーーー!』と穏やか系の音、しかしえらい物を見てしまいました。あそこの色がチラリと見えたからです。平凡な普通のオッチャンです、『ドキーン~!』と心臓が高鳴り、ドキドキと心臓の異常鼓

動がしているのが自分でも分かりました。その時です、スーッと腰の力が抜けてくるのが分かり、穴の中でペタンと座り込んでしまいました。晴天の霹靂とはこの事です、次ぎの『ジョーーーーーー!』と音が変わると、怖いもの見たさに意思に反して身体はヨタヨタと動いて覗いていました。その時ですーーー!

一瞬、「ギャー!」と言う感じで本当に腰が抜けてしまいました。それは、沢山いた女の子の中で金髪のスラリとした、可愛い子チャンだったからです、トンカチで一発、頭を「コチン~!」のショックぐらい有りました。ヘナヘナと腰が砕け、後は本当に穴の底にペタンです。

まあ~!皆様考えて見てください
これまさに、腑抜けになるとはこの事です、産まれて初めてそして最後でした。直ぐにバスは賑やかな若い女の子達の、はしゃぎ声を残して消えて行きました。穴の底では放心して、ペタンと座り込んだ、良い歳をしたオッチャンが仰天と驚愕の表情で、穴グマの様にうずくまっているのを想像してみて下さい。

そなん事で、しばらくは頭の中は真っ白で、空腹も、疲れも、腰の痛みも全部忘れていました。どのくらい穴の中に座り込んでいたかは、今では覚えてはいませんが、「はっ~!」と気を取りなおして我に帰り、主バルブを開けてテストしました。水が漏れません、一回で成功して3インチパイプの修理が終りました。

やれやれーー!で庭園に散水のスプリンクラーを全開して、その中でドロで汚れた身体を服を着たまま洗っていました。穴を掘っていた直ぐ近くに野生のブラックベーリーを発見して手のひら一杯取りまして、それを口に入れながらニタ~!か、へらーへらーかは覚えていませんが、笑いながらーー!どこかのホームレスか、キチガイの風体で、シャワー代わりに水を浴びていました。

長年にわたり仕事をしていた場所ですから、誰も警察には電話しませんでしたが、代わりに、コンデミニアムに住んでいる人が、「修理終った~!」「Hello~!」などと声を掛けてくれました。私はその時、疲れて、空腹で、腰も痛み我慢の限界に来て、少しイライラして頭に来ていました。

打ちしおがれた私を神様が元気ずけに、チョイトいたずらをしたのだと信じておます、有り難い事です。この様な話しをジジイが棺桶に入れて、あの世とらに持って行っても、何も神様はお喜びはなさらないと感じ、ボケて忘れない内に皆様のお耳に入れたしだいです、この話しはワイフ殿にも内緒の丸秘の話しですので、どうか心して読んで下さい。

そしてその夜、ワイフ殿がのたまわく「今夜はいやにしつこいね~!」と、どやされましたことも書いておきます。 
はいー!そんなことで今回は終りです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム