私の還暦過去帳(7)
人生は遠き道を、重き荷物を持って旅する如きーー。現実のドライブ
はその道路、運転する車両によって変わって来ます。私が一日で一番
沢山運転したのは、約1500Kmでした。
朝の3時頃から、夜の9時近い時間まで運転しましたが、アメリカの
高速道路では、かなりの速度で走れます。
平均すると時速100Kmで走っていると思います。
一番遅く走ったのは40年前、パラグワイのポンタポランの郊外で、
まったく道のない所を、トヨタのランドクルーザーで走った時でした。
移住地を訪ねて行く時に、雨の後で道路がすっかり消えてしまい川床
をたどって走って行きました。
道なき道を走ると言う事は、この事かと思いました。
また車も結構タフに造って有る事を感じて、体感で思い知りましたが、
道の無い所を走ると言う事は時間の掛かる走行だとしみじみ感じた思
いがします。激しい衝撃で計器類がほとんど壊れていました。
一番早く走ったのはアフリカで、南アフリカのヨハネスブルグに行く
道を、新車のオペールのレンタルカーで、大きくうねる波状地形の一
番丘の上から、突進する様に全速で降りたら、160Kmのスピード
が、メーターに出ていました。
同乗していた友達に気がついたら、「なんまいだ~!」と叫んでいま
した。
ひきつった顔で、「こらえてくれ~!」「止めてくれ~!」と怒鳴っ
て、最後は「ヒーー~!」と座席にしがみ付いていましたので、よほ
ど怖かったと思います。
当時1966年頃でーーー、車の性能的にも、余り知らなかったから
出来た事で、最後はエンジンが「ドドドドーー!」と少し異常な音を
出していました。
一番古い型の車はフォードのT型で、アルゼンチンのブエノス郊外の
農場でそこの農場主が、おじいちゃん時代からの車を全部丹念に保存
して、手入れして、残していたからでした。
一度でエンジンが掛かり、スパスパーー!と音を立てて走ってくれま
した。
今でも思い出します、田舎の草ぼうぼうの道をパタパタと走ってくれ
た事は。この自動車のハンドルを握って当時の古き良き時代を思い出
しながら、歴史の移り変わりを身体で実感していました。
車が変化して新しく生まれ変わる様に、人間の人生も時代の過去に老
いと言う変化に乗って、変って行く様に感じます。
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