2013年6月29日土曜日

私の還暦過去帳(384)


アメリカのシンボルGMの破綻、

数年前の6月1日朝、GMが破産法11条の適用を申請した。

午後にはオバマ大統領がGM破産法申請での演説を、全国民に向けて
しました。 私の子供の頃からキャデラックと言うと、富の象徴で金が無
いと買えない、乗れない運転できないと聞かされていました。

まさにそのとうりと思います。 50年近く前の福岡の田舎です、キャデ
ラックなどは何処を見ても、探しても、走って居る様な車ではありません
でした。
外車と言うとアメリカ駐留軍の家族が博多近郊の板付基地の周りで乗り
回しているのを見たぐらいでした。当時、ガソリンなどは高価で、1リッ
タで4kmも走らない車など乗るのはキチガイ沙汰のよほどの変わり者
か、偏屈なマニアと言われるぐらいでした。
アメリカの大統領から、各国の元首や、有名人などがその乗用車とし
て、シンボルとして使用していました。

私が今で心に残るキャデラックは、エルビス・プレスビーの葬儀で、キャ
デラックの最高級車の白のエルドラードの車が、亡くなったプレスビーの
愛車として葬列に何十台と同じ白のキャデラックが並んで走っていたのを
TVを見て、ジーンと来た思い出が有ります。

私の知り合いでだいぶ昔に亡くなった方ですが、生涯トラック運転手とし
て働いて、引退した記念に分相応の程度の良い中古のキャデラックを買
い、ワイフと運転を楽しんでいました。
彼は45年間で200万マイル以上は運転したと話してくれましたが、
サンフランシスコとロサンゼルスの間の定期便の運転をしていたようでした。

彼がピカピカに磨き上げた車に、愛犬と奥さんを乗せてドライブに出てい
く様子を思い出します。
庶民でも夢として、アメリカ人の豊かさのシンボルとしてキャデラックを持
っていたと感じます。
日本でも1960年代初期のキャデラックを持っていた人を東京で見た事が
有ります。昔、社長をしていた時代に購入して、車検は切ってそのまま
自分の夢だったキャデラックを大人の玩具で飾っていると話していました。

その当時は引退して趣味の庭木の手入れを楽しんでいた人でした。 ピカ
ピカにワックスで磨き上げられ、屋根付きのガレージに入れられ、その上
には埃避けのシートカバーが掛けてありました。

すでに当時でもクラッシック・カーとして価値があると聞きました。 『重量
2トンもする玩具だけれど、エンジンは一回で掛かるから・・』と見せてくれ
ました。

そのアメ車のシンボルのGMが破綻したのです、破綻はアメリカ人の精神
的なシンボルとしての破綻でもあったのです。

私もそのアメリカのシンボルとしての大型車を一度だけ持っていた事が有
ります。それは私の夢でした。船の様に幅広くゆったりとしたフルサイズの
ステーションワゴンを家族の為にアメリカに来て直ぐに中古のフォード・グラ
ントリノを買いました。

巨大なV8のエンジンで、後ろのシートを倒すと子供達が3人、楽に寝る
事が出来ました。その車を運転して、ロサンゼルスのディズニーランドに
家族で出かけました。

ナンバー5を軽々と時速130km以上で走ってもまだ余裕のある走り
でした。 その時、ハンドルを握っていて、アメリカの豊かさとアメリカーン
ドリームをかき立てる何かがその大型車にありました。

私が持っていた夢も、アメリカ人の庶民が持つドリームも同じ同意語と感
じて居ました。
しかし、時代は変り、変革して、社会を取り巻く環境も激変して、1ガロ
ン(約4リッタ)が55セントの時代では何も心配する事はありませんでした。

しかし同じ1ガロンが3ドルと越した時代では、全てが代わって行ったの
です。そして、人の思考や時代に生きる世代の違いも変化しているのです。

この破綻を教訓に、まったく新しい会社に生まれ変わると思いますが、ま
た生まれ変わらないと新たな競争者に立ち向かう為には激戦の戦場では
小回りの効く戦略で、身軽に敵と立ち会わなければならないからです。

クライスラーも破綻して、GMも破綻したアメリカ自動車産業はアメリカの
基幹産業としての牽引車が無くなった事になるのです。
破綻した会社が元に戻り、借財を返済して元の会社以上に成長する事は
困難な筋書きです。
中国は、あまたの群として乱立した中小の自動車会社が整理統合され、
消費者のニーズにあった車を安く、上質に、早く、安全運転出来るノウ
ハウを収得しています。

韓国も僅か20年で400万台以上の車両製造が出来る様になり、海
外に輸出して、海外にも工場を建設しているのです。 アメリカは日本以
外の多くの自動車会社とも生き残りを賭けた戦いの戦場に立たなければ
ならないのです。

インドからも小型トラックを輸出する計画が有りましたが、この不況で中
止となった様です。 インドも中国もアメリカを目標としているのです。

アメリカと言う市場は世界一の自動車会社の戦場でもあるのです。その
競争原理と消費者のニーズに合う車を製造して生き残りの戦場に勝利の
旗を掲げる事を狙っているのです。
これから屍が累々と積み重なる中に、最後に到達する勝利者は誰かー?
フォードかトヨタか・・、それともGMか・・、生き残りを賭けた戦いはもうす
でに始まっているのです。
6月3日の朝刊に、カリフォルニア州、サンフランシスコ郊外の地方紙に
GMが一面に広告を出していた。
破産しても整備サービスと前と同じ良質な部品を販売して、それを前と同
じく維持していくと広告していたが、すでに月間販売台数で劇的な動きが
見られた。

GMは止め様も無い販売下落だが、そのGM率の半分で辺りで止めて
いるフォードが堅調な販売を展開している。フォードも多額の借入金はあ
るが、破産はしては居ない。

これからの顧客の動きが、これから新会社で再生したGMやクライスラー
が他の会社と競争の戦場で生き残る作戦をどう展開するか、お手並み拝
見と行きたい。

すでに5月の新車販売台数は前年同期に比べて、33.7%の減少と
言う中に、これからの生存を掛けた戦いはどうなるか?

貴方はどこの自動車製造会社が世界一の栄冠をこれから10年先に勝
ち取ると思いますか?

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