2016年9月12日月曜日

私の還暦過去帳(586)

近頃思う事は・・、

巡る歳月に、それに増して月日の流れが速き事を感じます。
すでに9月に入り、中頃となりましたが気が付けば、はっと感じる時間的な
流れの真っただ中に自分が孤立して居るかの様な感じを持ちます。

暑い日が続いて、昔の遠い時代の思い出の中に、本当に焼ける様な感じの
暑い日を思い出して居ました。
トラックも焼けたボンネットに卵を落として見たら、瞬時に卵焼きが出来た事
があります。素肌に焼けた鉄などに触ると、直ぐに火傷です。
その時の外気の温度が忘れもしない、43度近く上昇していました。
11時には仕事を止めて昼休みに入り、長い休憩時間の間に、ランチを食べ
て、昼寝していました。
日干し煉瓦を積み上げた土蔵の様な家で、窓も小さく、屋根には椰子の木を
半分に割って、それを交互に竹の様に組んでありました。
土間には打ち水をして、気化熱の作用でひんやりとした空気が感じられる室内
でしたが、西日のカンカン太陽が当たる窓は、外側の板戸を降ろして、閉めて
いました。
3時過ぎても暑い気温が人間達の働く意欲と気力を削いでいました。
暑い夏の飲み物、マテ茶のテレレを飲んで薄暗い室内で時間を潰していました
が、4時頃になるとインジオが灌漑用水ポンプの燃料補給に来て、ドアを叩いて
催促していました。
20リッタ入りの予備缶を渡していると、『今日は暑いので、皆が河で水浴びして
涼んでいる』と話していましたが、河の水は少しぬるま湯の様な感じだと言って
いました。
はるか昔の思い出ですが、夏の盛りの激しさをふと考えていると、今の自分が
置かれている環境の幸せを感じます。
農場の暑い時期、長い昼休みに大トカゲを農場に居た時に撃ちに行き、イン
ジオから教えられた場所で、トカゲが出て来るのをライフルを構えて待つ苦行
も、暑い日には、命中させると言う欲望と、願いだけで木陰にジッとうずくまる
様にして、暑さに耐え、ジッと構えているライフルの重さに手が痺れる感じを
持ちながらも、大トカゲを待っていました。
そろそろと用心しながら長い舌を出して穴から這い出して来たトカゲを、一瞬
のチャンスを狙って首周りの急所を狙い、吐く息を詰めて狙撃する瞬間的な
チャンスをもって撃つ緊張感が、全てを忘れさせていたと感じます。
撃った弾は外れて、トカゲの近くで土埃が舞い、それと同時に両膝を地面に
着いてびっしょりと汗で濡れたシャツの重さを感じ、のろのろと立ち上がり、灼
熱の太陽を恨む様に感じていました。
トカゲ撃ちの難しさは、当れば全てを忘れて、獲物を手に帰って来るのです
が、手ぶらで、トボトボと重いライフルを背中に汗で濡れたシャツの重さを感じ
ながら歩いて帰る惨めさで、夏の太陽が恨めしく感じたのでした。

何気なく夏も終わりの窓の外を見ながら、ぼんやりと昔の郷愁に浸って感慨
深く思い出した記憶のページをめくっていました。
過ぎた年月で色あせた記憶も、これからどれだけ覚えて居られるかと感じる
と、ふと・・、ひんやりとした二重窓の部屋で、冷えた飲み物を手に、窓の外
の景色に、過去が遠くに消えて行く感じがしていました。


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